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専門コラム 第127話 新しい買い物スタイル〈ネット販売〉は、果たして本当に儲かるのか?

 今、外出・外食を控える分、物販・飲食では、デリバリーサービスや、ドライブスルー的な商品受け取り方式、ネット通販の利用が大きく増え、新しい日常は、新しい買い物スタイルも生み出してきています。

最近は自分用に買うものも贈り物でも、旅行などの出費が減る分、自宅で楽しうために浮いたお金を使おう、なかなか会うことが難しくなくなった人に、ちょっと贅沢なものを買おう、贈ろうというような傾向も流通各社で出ています。

今年の年末年始の帰省や旅行も控えるであろう中、恒例のおせち販売、お歳暮、クリスマス需要での単価が、それぞれアップするのは間違いないのですが、買い場は大きく実店舗からネット通販にシフトすることも間違いありません。

ネット通販の世界、「伸びているとはよく聞くけど、ウチは本業に比べたらまだまだ・・・」という企業や経営者の方も多いのではないでしょうか。

このような思いから取り組みが中途半端になり、とても残念なことですが、ネット通販はどこか置き去り(放置状態?)になってしまっている企業も多いのです。

ネット通販の担当者は、日々奮闘されていらっしゃると思いますが、社長や経営側、会社として、どうしてもネットは売れないという過去に状況に囚われたり、本業の事業の大きさに囚われたり、アナログ世代にとってはよく分からない知らない世界のネット販売に対し、必要かもしれないが、イマイチ本気になれない・・・など。

ようやく今になって、コロナからの巣ごもり需要の急増、実店舗の売り上げ激減となり、EC・ネット通販を早急に何とかしないと・・・とになってきているのです。小売業を中心に、今多くの企業やお店、生産者が直面している現実です。

そんな状況が変わってきた、皆さんのEC・ネット通販業態は儲かっているのでしょうか?

通販はあくまでも小売業態の一つですので、まずは小売業全体から見ていきます。日経MJが毎年発表している2019年度の小売業調査結果からです。

2019年はコロナ影響がまだ限定的である中で、小売業全体は3%増、8年連続増収も、伸び率は前年の3.8%増からは鈍化。

大きく減収したのは、地方百貨店(4.9%減)都市百貨店(2%減)コンビニ(2%減)。

微増は全国スーパー(1.5%増)地方スーパー(0.8%増)生協(1%増)専門店(3%増)。

大きく増収したのが、地域スーパー(6%)と通信販売(9.6%増)。

小売全体の企業別売上高では、1位イオン、2位セブン、3位ユニクロの上位3社は2018年と顔ぶれは同じでしたが、前年5位のアマゾンが4位になり、売上高17,443億円、18年度比で14.3%増となりました。通販で2位の売上高なのがジャパネットの2,070億円ですので、アマゾンの1/8です。(楽天市場は基本モール型なのでこの調査には含まれていません)

ごの通り、通販の増加率は圧倒的で、小売業全体を牽引していると言えるでしょう。

コロナ以前でこの伸び率ですので2020年度調査だと、さらに通信販売の数字は跳ね上がることは間違いありません。

この影響から、2020年からのEC・ネット通販参入が今まで以上に増え、ますますの激戦業態になることも付け加えなければなりませんが、通販だけに落とし込まれた興味深い調査もありました。

2019年コロナ以前での調査「ネット販売で利益が出たか?」という問いに対してです。

①利益が出た  35.0%

②ほぼトントン 18.8%

③赤字だったが1-2年内に黒字に出来そう 12.1%

④赤字で今後も赤字が続く見込み 13.9

⑤無回答           20.2%

①~③までを含めますと、現在~1-2年後まで約66%の企業が黒字化と回答されています。

大きな売上か大きな利益かどうかは分かりませんが、例え今は赤字であっても未来が見えている明るい状態です。一方で、残りの34%は今後赤字でも続けるかもしれないし、やめるかもしれないということかもしれません。

「ネット販売の伸び」についても調査がありました。

2019年度では、成長率が1%未満、または1-3%未満の企業が全体の5割以上、20%以上だったのが1割未満で、ネット通販が収益の柱に育った企業は少数派だったとありましたが、直近の2020年では急激な変化が見て取れます。

2倍以上             10.8%

50%-100%未満    5.8%

30%-  50%未満    5%

20%-  30%未満    5%

10% –  20%未満  16%

  1% –   10%未満  20%

⑦減少  2.2%

20%以上増の企業が2019年は1割未満だったのに対し、約3倍の27%にもなり、減少したのがわずか2.2%です。こんな好調すぎる小売業態は、他にありません。

そうはいっても売上高としての全体パイは、実店舗の規模の方がまだまだ大きいのでひっくり返ることは現実的にまだまだないですが、少なくとも、ますます伸び続ける業態であることは確かです。

さあ果たして、伸長が続き、ますます勢いもついたEC・ネット通販は儲かるのでしょうか?

答えは至ってシンプルです。巣ごもり特需の恩恵に頼るのではなく、時代を見据えた上で、

・儲けるために勉強し努力する、投資(ヒト=人材、モノ=商品・サイト、カネ=広告・システム)する企業は儲かる。

・儲けたいのに、勉強しない、努力しない、投資しない企業は儲からない。

こんなこと言われなくても、どんなビジネスも同じだよ!というお声が聞こえてきそうですが、あなたの会社の言うところの “本業” と同じで、ネット通販も決して甘くありません。ですので、これ以上でも、以下でもないのです。

コロナ前、今までの事業を本業、本業を何とかせねば・・・と叫ぶばかりでなく、EC・ネット通販を本業と呼べるくらいに様々なリソースをその ”本業” 並みに注いでください。

そうすればネットを中心に通販市場は今後もますます大きく広がっていますので、確実に伸びていけるはずです。

魅力ある市場だからこそ競争も激化しますが、百貨店のように100年以上昔からの先行企業がいる訳でもない、新しい市場でもあるのです。

競争激化するネット通販で、当社がススメているのがギフト化(商品も売り方も)です。ギフトは考え方も商品の価値の上げ方も難しい分野ではあります。

その分、しっかり取り組めば、競合や大手にも打ち勝っていく戦略が立てやすいのも事実なのです。

先日98日に発表された経済産業省による最新の家計消費調査(7月)は、これです。

ネット通販が2020年、ものすごく伸びているのは上掲の表からも明らかですが。

さらに注目すべき点は表の一番下、食料品・家電は圧倒的な伸びですが、贈答品も大幅に増加していることです。調査期間の7月は、まさにお中元の時期ですが、年配者利用の多いお中元イベントですら、ネット通販での利用が爆発的に増加した “証” です。

無理にギフト化を・・・とは申しませんが、今すぐにでもEC・ネット通販を事業の柱にするように動こう!とお考えなら、ギフト化以前でも全然構いません。業界を30年、駆け続けてきている私に、ぜひお声がけください。

市場拡大続くネット通販の世界で、”足腰の強い” ギフト通販戦略をお伝えします!