専門コラム 第137話 他人の真似事では絶対に勝てない、勝つために必要なもの。
「隣の芝生は青い。」
The grass is always greener on the other side of the fence.
とても有名な英語圏のことわざですね。
他にも「他人の畑はいつも豊作。」「隣の花は赤い。」など、どうしても他人のものの方がよく見えてしまう・・・。
ほとんど、どんな人にも当てはまるのではないでしょうか。かく言う私だってそうです。
私がカタログ通販会社に勤務していた頃、まだネット通販のない時代で同業他社の売れている通販商材やカタログ・チラシを見て、よく真似をしていました。
なぜ真似をしたのか?ですが、私は顧客対応の部門から通販キャリアをスタートしたのですが、念願かなって企画部門に移った時、商品企画やカタログ制作のノウハウを何も持ち合わせていませんでした。
当時の企画部門の上司は「分からないうちは同業他社を見て、いいと思うところは徹底的に真似しろ!」と言われました。
最初はそんなものなのかなぁ?と思いつつも、とにかくカタログやチラシ媒体を自身で徹底的に掻き集めました。売れている商品は、何度もカタログに登場していて継続採用していることが分かりますし、紙面スペースを大きく割いていたり、表2や表4といった最も目に付くところに配置されてもいました。
商品スペック・価格・商品写真・紙面デザインまでもそっくりに仕上げたつもりでも、やはりどこか偽物感は拭い切れていませんでいた。
なので、同時期にカタログやチラシが出ると、それなりには売れるのですが、本家本元の売上にまではどうしても届きません。
ですが、徹底的に真似することで基本的なことは十分に理解でき、そこからは「守・破・離」へと進んで自身のオリジナルを作り出し、実績を積んでいった結果、特定ジャンルではありましたが、業界No1の売上を達成することが出来たのです。
商品企画やカタログ制作の経験が全くなかった自分が、たった3年で業界No1を実現できたのも、真似するだけでなく、そこから活路を見出し、創意工夫をし、トライ&エラーやデータ分析やあらゆる施策を、寝る間も惜しんでというくらいに繰り返した結果、同業他社が簡単に追いつけない領域まで達することが出来たのです。
ここまで手前味噌なお話で大変恐縮ではあるのですが、実は真似するだけで終わってしまっている企業も本当に多いのです。
真似は誰しもが出来ます。どんなビジネスジャンルにおいても先駆者の成功者を真似れば、ある程度のところまではいけるでしょう。ですが大事なのはその先です。
単なる真似だけではオリジナルに追いつくことができないおろか、仮に追いついたと思った時にはすでに先を行かれているでしょう。
肝心なのは、先にも申し上げた「守・破・離」です。
もし他者真似をしたとしても、その後どこまで応用し、最終的に自身のオリジナルを作り上げるかです。
信用・信頼がすでに築かれている大手企業であれば、その企業ブランド力がオリジナル=独自化されていると言えます。だから大手が他者真似の商品を出してもそもそも冠が他者と違うのです。
では、中小企業ではどうでしょうか?
名も知られていない中、消費者が目にするもの、接するものは提供している商品、サービスしかありません。
この商品・サービスが他者真似でしかないものであれば、比較するものは単に価格・スペックおよび機能でしかないのです。
商品の中身である、スペック・機能をいくら充実させても販売価格がおおよそ決まってしまっている中では、価格勝負しながらスペックも上げるという、利益を削るしかないという状況に陥ります。
いわゆる価格競争・スペック競争に否が応でも巻き込まれてしまい、広告・営業経費も潤沢に使えない悪循環に陥ります。
中小企業においては「独自化」というのは重要なキーであり、これまでの人脈など全く関係ないネットの世界、100万を超えるECサイトから選ばれるためにも、成功・成長するためにもこの「独自化」は、さらに重要なキーなのです。
当社のコンサルティングでは、まずこの独自化(独自商品)に取り組み、もしすでに独自化をされていながら伸び悩んでいるのであれば、その独自化をさらに磨きあ上げることに最大限注力しています。
なので他者を気にする価格設定、スペックというのは最小限で済むため、事業全体の継続的な利益構造を生みます。
あなたの会社では他者の動向ばかりを気にされていませんか?
独自化された商品やサービスを最大の武器とされていますか?