専門コラム 第12話 「ビッグイベントは、イベント特性からの逆算が成功を左右する」
今から約1ヶ月後の2月14日は、バレンタインデー。百貨店最多の売上を誇るのがJR名古屋高島屋というのは有名ですね。2017年には22億円を超え、全国百貨店の中で8年連続トップだそうですが、今年も1月19日より販売がスタート。今年は、過去最大の150ブランド、2,000種類以上のチョコが並んでいるとのことです。
チョコをバレンタインデーに贈る習慣はご存知の通り、日本で派生した独自の文化です。昭和30年代にメリーチョコレートや森永製菓など菓子メーカー、百貨店などでの販促・マーケティングの成果によるもので、記念日的なギフトとして定着久しいですが、今では本命チョコや義理チョコのみならず、主役は同性の友達に贈る友チョコや、自分へのご褒美チョコが大きくシェアを持っています。贈りたいものを探す以前に、自分が食べて見たいというのが先に立つギフトイベントへと変化・成長しています。
ビジネス的には、チョコレートの販売がなくても、せっかく大きなマーケットになっているバレンタインデーそのものに乗っかって、当日や前後日のイベントを考えてのアプローチをした方が効果的ですが、自社だけで考えますと主力商品などにちなんだ記念日の設定も有効になる場合があります。一例ですが、8月3日を”ハチミツの日” と自社設定して自社顧客への販促に用いられた通販戦略で成功している、はちみつ製造販売の企業もあります。
このように企業独自の記念日を設定して販促を掛けていくのも、一般的な定着までは極めて難しいですが、自社の顧客向けであれば有効な販促手段となりますので、語呂合わせや季節など様々な角度からイベントを考えて見るとビジネスチャンスが存在するかもしれません。
それに関して「一般社団法人 日本記念日協会」という組織があります。ここで制定・認定されていなくても記念日は勝手気ままに作ることはもちろん可能なのですが、少しハクはつくのかもしれません。この協会では、バレンタインデーに絡むものですと「恋の神様の日」「イケメンの日」というのがあり、「ふんどしの日」(2=ふ 10=ど 4=し の語呂合わせ バレンタインにふんどしを贈ろうという趣旨も)みたいなものもあります。他には自動車保険の日、予防接種記念日、ロディの日といったものもありますが、これら全て2月14日を記念日とするものです。しかし、バレンタインの存在があまりにも大きいために、どれも分が悪い気はします。
バレンタインの定番商品はもちろんチョコレートですが、他のスイーツも当然ありますし、自分へのご褒美と捉えれば、化粧品やインテリア雑貨、服飾雑貨、キッチン雑貨など女性向けであれば、いろいろな商品が考えられますし、男性への贈りものとして見れば、ネクタイやビジネス雑貨は定番になっています。贈りたい人の趣味が分かっていれば、その趣味に関するものも喜ばれるでしょう。
他にはプレゼントの受け渡しがあっても無くても、何か美味しいものでも食べよう、綺麗な夜景を見ようなどのシーン提供もありますね。
間違ってはいけないのは、チョコを贈る習慣は日本独特のバレンタイン文化であっても、西洋の文化印象であることです。
食事処で言いますと高級寿司屋や高級料亭など印象は和でも特別感のある場所や食事だとアリかもですが、リーズナブルなお得感を強調したような居酒屋さんなどでバレンタインデーを過ごすのは全くなしとは言いませんが、フレンチやイタリアン、ステーキハウスなどの方が相性はピッタリでしょう。
贈るモノでも、無理やりバレンタインに乗っかろうとして、ピント外れな企画をするのではなく、和雑貨や日本的な食品の場合であっても、絶対とはもちろん言い切れませんが、洋風でなく限りなく「洋」イメージに仕立てるかがポイントになります。
商品であれ、サービスであれ、ビッグイベントを有効利用することは当然大きな商機を捉えることですので、イベントの印象、贈る側(購入する側)、贈られる側が何であれば喜ぶのか、自社の商品やサービスがそのイベントでの感動を与えられるのかをよく考えた企画立案がまず必要です。そこには、バレンタインに最適ですよ!というプッシュ型ではなく、一目見てバレンタインにいいかも!と思ってもらえる設計が大事になります。
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