専門コラム 第220話 2024年春のギフトショー講演でお伝えした”利益が10%”も変わることとは?
「うちの会社は売上はいいのですが、利益が少なくて・・・」
一昨日、ギフトショー講演後の名刺交換に来られた、ギフトショップを営まれている社長の命を受け参加されていたTさん。
なぜ、売上はいいのに利益が少ないのか?
名刺交換の列ができていたため、ほんの1分くらいの時間で詳しくはお聞きできなかったのですが、私がそのセミナー中にも触れていた「のし・包装などのギフトサービスをすべて無料にしていることも一つの要因かも・・・」ともおっしゃられました。
Tさんの会社だけでなくギフトサービスを無料で提供している会社やお店は、今もたくさんいます。
のし・包装・化粧箱・メッセージカード・ショッパー(手提げ袋)・名入れなどのギフトサービスは様々ありますが、競合他社を見て「大抵、無料でやっているし。」とか、「昔から無料だから、有償にすると顧客離れを起こすのでは?」など、有償に踏み切れない理由は様々あるでしょう。
ギフトビジネスにおいてサービスの無償提供は、資材費だけでなく人件費も掛かり、作業場所(地代家賃)も必要です。確かに利益を圧迫する一つの要因ではあるのですが、実はそれ以前に大きな問題が潜んでいることが多いのです。
それはズバリ、事業設計であり、事業戦略です。ここには価格設計も含まれます。
ギフトサービスを有償にすべき持論は、昨日のセミナー会場でもお伝えしたのですが成功事例からも基本的には提唱させていただいています。
ですが、そこに事業戦略、設計がしっかり成されてさえいればギフトサービス無償であっても別に構わないのです。
要するにギフトサービス無償であっても、しっかり利益確保ができる事業設計になっていて、さらにギフトサービス無償であることが販売戦略において有効な武器となる、もしくはなっている場合であれば・・・です。
先述の通り「大抵、無料でやっているし。」とか、「昔から無料だから、有償にすると顧客離れを起こすのでは?」という場合は“思考が停止している”と、言わざるを得ません。
考えてみてください。
ギフトサービスを無償にするか有償にするかは、事業全体においては”点”の話に聞こえますが、無償にすることで300円の経費が掛かっていて、客単価が仮に3,000円だとすれば、販売利益で10%もの損失をずっと出し続けることになるので大ごとです。
客単価が10,000円なら3%、20,000円なら1.5%、30,000円なら1%ですので吸収できるかもしれませんが。
ギフトビジネスの場合、ブランディングの観点から包装資材やギフトサービスでも独自化を実現させることも可能です。有償であっても頼みたくなるような優れたデザイン、質の高い資材の利用、サービスの完全オリジナル化です。
もちろん、その実現には先行投資も必要ですし、何より根底におくべき、”なぜ有償にするのか?”の理由が最も大事です。
利益が欲しいから・・・でなく、優れたサービスの提供によって”顧客満足を高める”ことが先に来ていなければ企業目線だけで有償にする・・・では単に売上低下、顧客離れを起こすだけです。
運営上どのような細かい点も、なぜそうするのか?という自問自答や根底の計画、戦略があってこそ初めて全ての点につながり、線になっていき儲かる事業に繋がっていきます。
「うちは課題も問題も何もなく、順調そのもの!」という企業は、今儲かっている、儲かっていないに関わらずほぼ皆無でしょう。
昔からの慣習を疑わず思考停止していたり、同業や競合に合わせることばかりしていたり、課題、問題を後回しにしているとすぐその先で大きな壁にぶち当たります。
ぶち当たるだけならまだいいのですが、沈むようなことにならないよう、まずは深く考え、決断し、変革していってください。
今、あなたの会社では何も考えずに変えていないことはないですか?
その慣習から知らず知らずのうちに大きな損失を生み続けていませんか?
同業、競合のことばかり気にかけていませんか?