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専門コラム 第121話 自社ECサイトやネットショップが”経営に大きく響く時代”であるのを認識すべし。

 「最近始めた飲食業態が元々の生業の売上と同じ規模までたった数年で成長できました。ですが今のコロナで最近オープンした新店はいきなり厳しい状況で・・・。ギフトの商品化や卸販売、ネット通販で補いたく、専門ノウハウを持っている人材もいない中ではありますが、すぐにでも始めたいです。どうすればいいでしょうか?」

夏休み直前、ギフトおよびネット通販の導入についてある中小企業の社長からこのような個別相談を受けました。

個別相談の場合、当社では専用のヒアリングシートを用意し、現状の課題や今後どうしていきたいかなどをご相談前にご記入いただき、ご提出をいただいています。

事前に提出いただいたヒアリングシートを拝見すると、この企業ではすでにギフトとして十分に通用する質の高い商材をお持ちで、企業も長い歴史がある。また、最近成功している飲食店のブランドや実績もあるので、私はご相談当日、こうお答えしました。

「社長、御社の現状からしますと、ギフト商品化、ネット通販の仕込み、ギフト商品の卸販売まで含めて、その取り組みはかなり速いスピードで出来そうですね。ただし、実店舗と同じように人材育成と、商品開発やWEBサイト開設への投資はある程度必要になります。」

「それと本気で新たな事業の柱になるように取り組まれたいのであれば、ギフト通販に対して、何のノウハウもない中からのスタートですので、速いと言っても最低半年くらいは事前準備期間、ギフトや通販ビジネスの基本を知る期間が取り掛かるまでに必要ですね。」

社長は「そんなに時間掛かるんですか?」と言われました。

開始まで半年でも長い・・・と思われることに対して私は「決して長くはないですよ。速いくらいです。実際、実店舗を出店されることを計画しても、それ以上掛っていらっしゃいませんか?」と言うと、

「店舗は確かに1年以上準備期間が掛っていますが、それは店舗には色々あって・・・。」

今の時代、ネットショップの立ち上げだけなら下手すればたった1日でも可能なケースがあるでしょう。ギフトの商品化にしても、それなりに見栄えのいい化粧箱に入れて体裁だけを整えれば、たった数日でも出来るかもしれません。

ギフト商品も出来た!販売サイトも簡単に出来た!さあ、あとは売れるのを待つだけ!

果たしてこんな感じで、群雄割拠するネット販売・膨れ上がるECの世界での新規事業として、1本の大きな事業の柱として成り立っていきますか?

実店舗を経営されている企業で、ECをすぐに立ち上げたいと思われる場合、こういったことはよく見る光景ではあります。

店舗を出店する場合、立地環境の下見、貸借店舗の押さえ、契約、外装内装、スタッフの手配、飲食であれば適切な厨房機器や客席を揃えたりなど、必要なコストも時間も掛け、集客手段も用意して、様々に周到な準備をし、ようやくオープンへとなるはずです。

これがネットショップになった瞬間、どこか安易に捉えられてしまう訳です。

実店舗はもちろん、製造業でも問屋でも商社でも、消費者だけでなくバイヤーや取引を考える経営者にもWEBサイトを見られる時代です。

どんな人が社長なんだろう?

どんな考え方の会社なんだろう?

どんな商品やサービスをどんな手法で作っているんだろう?

など様々に見られます。

D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)と呼ばれる、昨今急激に伸びてきた製造直販スタイルでは、実店舗を出す前にまずネットショップを出店し、SNSなどを駆使してファン層を広げ、そこから実店舗を出店していく流れで成功しているベンチャー企業もあります。

また、実店舗を出店する時点からネットショップ、SNSを同時に走らせる場合もあります。

いずれにせよ、実店舗だけではないということが、今の時代に促した形であるD2Cビジネスモデルにおいてこういったことが、”大前提”であるのです。

リアル店舗も、バーチャルのように言われるネットショップもその垣根は存在しなくなってきています。それどころか、ネットショップ、WEBサイトの方が大手資本にも負けずとも劣らない手法や見せ方も出来、外装内装にも多くのコストが掛かる実店舗よりも、WEBサイトのデザインの方が表現もしやすくコストも安く、立地も関係ないため、大手と同じ土俵での太刀打ちが可能です。(もちろん検索順位を上げたりするようなWEB施策を取る必要はあります)

若い消費者には、実店舗よりもネットショップやSNSでの情報の方を信じる人も沢山いるということも現実なのです。TV番組よりもYouTubeを見てそっちを信じるように。

なのに中小企業ほどネットショップや自社を紹介するWEBサイトが、どこか適当にされていたり、更新も放置されていたり、人材も張り付かないような状態をいまだによく見かけます。

実店舗の運営およびその成功には、数々の苦労の上で成り立ってきているように、ネットショップの成功も同じような苦労をしなければ、成功は決してなし得ないのです。

そのために必要なのが以下です。

・企業とお客様を繋ぐために最も重要なコミュニュケーションツールである”独自商品”

・一人でも多くのファン(BtoBであれば取引先)と繋がるためのWEBサイトでのストーリー表現

・顧客コミュニケーションとしてSNSの活用

・実店舗があるならば、WEBサイトとの実店舗との連動をシームレス(継ぎ目がない状態)になるように構築

お客様から見たとき、実店舗もWEBサイトもSNSも、同じ企業、同じお店であるわけで、どこかは手を抜いてもいいという訳ではないことが当たり前な時代であることを重大に認識すべきなのです。

コロナの状況下で一つの販売チャネルだけでは今後を見ても苦しいから・・・と、リスクヘッジの意味もあってECに力を注ぐ・・・というお気持ちはよく分かります。

ですが、ECサイト運営、ネット通販、ギフト、SNS、どれをとっても入り口はいかにも簡単なように、いろんなサービスIT企業が用意してくれていますし、誰もが簡単にある一定期間や、ある条件下の元では、それらのサービスを無料で使えたりもします。

ですが 結局、”タダほど高いものはない”、”安かろう悪かろう”、”ローリスクローリターン”になることが大半なのが現実です。

中途半端に取り組まれてしまっては、決して成功は得られない。

それほど、ネットショップ、WEBサイトの運営というのは実店舗と同じく、決して簡単な道のりではないのです。

たとえ分からずとも、分かろうとするかしないか。

ギフト通販への理解を深めようとした上で、それでもやってみようとするのか。

このことが成功するかしないか、まず最初の運命の分かれ道・・・と言っても過言ではありません。

簡単に成功できて、その成功が長く続くビジネスモデルなんて、この世には存在しません。

苦難な道を歩まれてきた経営者なら、誰もが分かっていることなのですから。