専門コラム 第223話 憧れのビジネスモデルから、独自のビジネスモデルを生み出すために。
「あのお店のようなビジネスモデルを目指したいです!」
昨日当社へのご相談で洋菓子チェーンを経営されているH専務がこうおっしゃられました。
あんな風にウチもなれたらいいなあ・・・と、モデルにしたいケースをしっかり見て、参考にしたり目標にしたりすることはとても良いことです。
しかし、憧れのそのビジネスモデルも当然、何の考えや苦労もなく簡単に出来上がっているわけではありません。
私たちはアウトプットされた商品、デザイン、お店、会社を目にすることは出来ます。しかし、アウトプットされるまでの過程や何をインプットしているのか?
インプットの段階で、どのような深い考え方や、商品化に際しての苦難や労力、その先に目指していることなどを目にすることは、ほとんどありません。
さて、ECでのギフト事業から大成功されている「八代目儀兵衛」というお米のギフト会社があります。EC界隈ではとても有名ですし、最近ではセブンイレブンの監修コラボでのおにぎりも全国で販売されているので「八代目儀兵衛」の名前を目にされている方も多いと思います。
祖業は代々に渡る古くからの京都の米問屋さんですが、大きく方向転換し、いきなりECで、しかもギフトから入り。また同じギフトでもパーソナルギフトではなく、需要の下がってきているフォーマルギフト、いわゆるお返し(内祝い)のマーケット攻略から大成功されました。
ECの他には、お米マイスターの資格者を配したお米を味わう飲食店の展開をされていたり、昨年には私も足を運んだホテル・レストランショーでは、外食店向けのオリジナルブレンド米を紹介営業されていました。カレーに会うブレンド米、ラーメンに合うブレンド米というように飲食店特性に合わせるユニークなものです。
これらの根底にあることは、全国各地の様々なお米を仕入れて扱うことのできる、米問屋の最大特徴を単にそのまま活かすことではなく、それらを独自のブレンドにしてオリジナル化させたこと。秀逸なブランディングが成されていること。
マーケティング、パッケージングにおいては、そのオリジナルブレンド商品をフォーマルギフト市場向けとして売り出し、フォーマルギフトのみならずパーソナルギフトにも使えってもらえるようにラッピングや化粧箱などのギフトサービスを、徹底的に充実していることです。
この「八代目儀兵衛」が、ECやギフト業界で有名になっていっていた当時、私は大手のギフト会社に勤務していていました。最初にそのECサイトを見た時、「ウチは大手でも、この会社にボロ負けしているではないか!」このように思った、当時の衝撃は今でも忘れません。
そう思っていたら、今度は全国のお米屋さんがこぞってこの「八代目儀兵衛」の代名詞ともなった風呂敷包みスタイルや、どこも同じ形のPP袋入りだったのをスクエア型にしたりという、いわゆる “二匹目のどじょう” を狙ったものが続出してきました。
ですが、同業他社が目に見えるアウトプットされた商品だけを単に見よう見まねだけで成功するほど甘いものではありません。その結果「八代目儀兵衛」以外でお米のギフトで大成功されている例は、現在まで私が知る限りありません。
他に「オコメール」というメール便でお米を贈る法人ノベルティギフトの成功例はありますが、こちらの商品コンセプトや市場へのアプローチはまるで違いますし、この「オコメール」もすごく深く考え準備され、発信されたものであることはWEBサイトを見れば分かります。
このようなモデルケースに近づき、追い越すためには何を考え、何が必要なのか?
あなたの会社が目指したい、追い越したいモデルケースがあるなら、裏側にあるインプット部分を考え、なぜ成功しているか?をしっかり考察し、今度は自社自店に置き換えて深く考え、単なる見よう見真似ではなく、そこから独自の戦略を練り上げ、実践していくことです。
あなたの会社では目指したいモデルケースはありますか?
今、見よう見真似だけで取り組まれようとしていませんか?