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専門コラム 第146話 データ7割、勘3割は今や逆転!?。激変する社会を利益に変えるため今経営者・リーダーに求められるもの。

通販ビジネスでは、ECが中心となっている今も、紙媒体が中心であった昔も、まず仮説を立てることこそが大事だと言われてきました。

なぜ、仮説を立てることが大事なのか?

このことを私の通販会社での経験からお話しを書きます。

昔話で恐縮ですが、私が総合通販企業に在籍していた80年代後半〜90年代初頭、当時の諸先輩や上司からも口すっぱく、この仮説を立てる重要性を言われ、たくさんの実務や媒体実行計画の策定・提出・実施を通じて学んでいきました。

当時まだインターネットはまだ登場しておらず、紙媒体が主軸の通販企業でしたので以下のようなスキームでPDCAを繰り返し、媒体や商品を世に送り出していました。

①Plan    仮説立て=市場環境を見た上でのアイデア(商品企画・付随サービスなど)

②Plan    仮説の裏付けおよび検証=自社顧客分析と市場分析

③Plan    テスト掲載商品・売上・利益目標の設定=媒体計画書の作成(数値見込設計)

④Plan    役員承認(可決・否決)

④Do       テスト販売の実施=少部数でのテストマーケティング

⑤Check テスト結果の検証および分析=データ分析(客単価・購買年齢層・商品アイテム別・購買エリアなど)

⑥Plan    本番掲載商品・売上・利益目標の設定=媒体計画書の作成(数値見込設計)

⑦Action 本番販売の実施(テスト結果によっては取りやめも)=大部数での販売

⑧Check 本番結果の検証および分析=データ分析(客単価・購買年齢層・商品アイテム別・購買エリアなど)

紙媒体を用いた通販事業を全国展開で行う通販企業の大半は当時、新聞折込チラシが最も広く大きく新規顧客を獲得できる最大ツールでしたが、その媒体費用は今のネット通販に比べると半端なく高く、紙面の大きさにもよりますがB3くらいの大きさだと、1部あたり印刷費5円+折込費5円、1部計10円掛かりました。

新聞折込でのテストマーケティングを行うとなると、本番にいった時にさほどブレない売上数字を読むために、最低でも10万部が必要でしたので、1回のテスト折込で、10円×10万部/1カ所=100万円は最低限のテスト販売に掛かります。

それを、主要都市でまずテストします。札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡。計7カ所ですので700万〜800万程度が、1回のテストマーケティングに掛かっていた費用で、このテストでは売れない商品も含まれ、当然ここでの採算は合わず、95%以上が赤字です。

本番では、1部10円であったものが部数も30倍とかにするため、300万部=3,000万円の広告投資へと進みます。新聞折込は同業他社のチラシが同一日に入るかもしれませんし、気候が良すぎて、お出かけされてしまってはレスポンスが想定よりも下がることも十分にある中で、損益分岐点ができるだけ低くなるように、媒体コスト、商品コストを絞ります。

売れなかった商品を外し、他のテストから売れた商品を組み合わせ、売れると確信した商品アイテムの予測数量と製造調達および仕入価格交渉を行い、その時点で最強の品揃えをした折込チラシを⑥の本番へと進めてそこで、まずは収支トントンあたりを目指します。

この先に購入客に対し、いわゆるバックエンドの総合カタログをDMで年に数回送り、年間購買額を増やし、売上というよりは利益へと繋げていき、事業が成立していました。

現代の通販事業も同じですが、最終的にいかにLTV(ライフ・タイム・バリュー)を1円でも多く上げることが、最も重要な指標でしたが、このように莫大な広告費を掛けてようやく成立していた過去の通販事業ですが、今はEC・ネット通販全盛の時代となり、ここまでコストを掛けられるのは本気でECに取り組む一部の大手だけでしょう。

どこまでのコストをEC・通販の事業に投資していくかどうかは別にして、大手でも中小でも零細でも変わらないと思っていることがあります。

それは私が今もなお ”師” と仰ぐ当時直属の上司で、数々の新規通販事業を成功へと導いていた事業本部長から、毎日聞かされていた金言です。

「通販を成功させるには、データ7割、勘3割だぞ。それに成功させる”執念”が最も大事や!」

いつも言葉足らずで、発する言葉の意味や理由までは簡単には述べてくれません。京都で高価な呉服の外商営業を長く経験されいて、その経験も本当に様々な形で生かされていました方で、ザ・昭和な人でした(笑)。

二十代前半だった通販ビジネス経験の浅い私はとにかく些細なことでもよく怒られましたが、それでも必死に喰らいつき、毎日のランチを共にし、出張にもカバン持ちとして同行させてもらい、(出張先で私が喋る場面は一切なし!)、飲みに誘われれれば絶対断らずに飲めないお酒を無理やり飲み、何を語られているのか?真理は何なのか?を、毎日考え続け、答えを求める日々でした。

「データ7割、勘3割」の真意、データは市場や顧客ですので、ここは問題なく分かります。

では、勘とは単なる思いつきレベルだったのでしょうか?

全く違います。自身の生活、家族の生活、友人知人の生活、家庭や個人や社会の不平不満、性別や年齢別、可処分所得別、地域別などからの環境や属性など、様々に社会に対しての動きを、日々アンテナを張っていて、常にこの人の頭の中はこうなっていました。

・どんな商品やサービスなら喜んでもらえるのだろう?

・どんな値段とスペックなら買ってもらえるのだろう?

・どんな人に、どういうアプローチをすれば伝わるだろう?

ここからの仮説が、自分なりに消化した結果生み出されてくる「勘」でした。

もうひとつ、毎日のように言われていた「執念」。何がなんでも成功させるという、決して簡単に諦めない心の持ちようであり、365日、寝ている時以外(いや夢の中でも?)、常に世の中を見続け、考え続け、自分なりの”仮説”を生み出し、そこからの行動力で実行する。

私はこの”執念”を、この時から肝に命じたため、この通販会社での経験以降、設定された休日や休む時間はあっても、頭の中だけは365日稼働することが当たり前になったので、妻とスーパーに買い出しに行っても、あっちウロウロ、こっちウロウロしてしまい「迷子になるなっ!」とよく怒られます(笑)。

今、突然降り注いだ予期せぬコロナからの大変な時代。激変していく世界。どれだけの ”執念” を持って自身のアンテナを張り、仮説を立てて実行へと移せるか。

経営者、リーダーはこの難局時代を乗り切る”執念”が、今こそ必要な時でしょう。

そしてどんな世の中に進むのか、その未来に対してどうアプローチし、自社ではそこに対して何が出来るのか?

コロナで激変した世の中は、過去のデータ、それこそ半年前のデータですら通用しないであろうスピード変容。今や、「データ3割、勘7割」ではないでしょうか?

成功への大きなウェイト占める仮説を、未来を見て、より精度高く、この大きな今の社会環境変化から生み出し、お客様の利益→企業の利益→社会への利益へと結びつけていきましょう!