専門コラム 第206話 コンサル依頼を検討される、すべての社長にお伝えしたいこと。
先日お茶を主軸に和カフェ事業などを展開するI社に定期訪問した時のことです。コンサルティングに参加されている社員の方々の商品プランを一通り出し合った後、最後の最後にI社長がこう話し出しました。
「社員のみんなが様々にいい案を出してくれた後で、何とも切り出しにくいのですが私の案を今から話しますね。」
ここまで書いておきながら、今このコラムを読まれている方には大変申し訳ないのですが・・・
この後に披露されたI社長のアイデアは匿名とはいえ、戦略上ここでオープンにお伝えするわけにはいかないくらいに、とても素晴らしかったのです。
参加されていたプロジェクトリーダーのM部長をはじめとする4名の社員の方々はもちろん、私は感動すら覚えました！
I社ではこれまでもギフトに長年取り組んではいましたが思うように売れず、何とかしたいという思いがあったI社長から今年の初めに弊社へご依頼をいただき、ギフトを中心軸としたリブランディングによって、さらなる成長とギフト売上を向上させる目的からスタートしました。
弊社のコンサルティングは、成功するための実務ビジネスノウハウをしっかりとお伝えするスタイルですので、実務担当者の方が参加されるケースも多いです。もちろんOKですし、過去には最大9名がご参加された企業もありました。
しかし、特に中小企業の場合「社長も必ず参加いただくこと」を、当社ではお引き受けする際の絶対条件とさせていただいています。
「実際に実務をすることがない社長はいなくてもいいのでは？」
このように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実務といっても単なるノウハウやテクニック、施策だけをお伝えしている訳ではないのです。
なぜ、当社では社長の参加を絶対条件としているのか？
私がコンサルティング事業をスタートさせた2015年当時「よし、クライアントのためにやってやるぞ！」と相当意気込んで、最初の1社から始めました。
創業間もないタイミングでしたので、一気盛んにコトにあたるのは当たり前なのですが、今振り返ると数字的には成長させられたのですが、その反面で私は大きな失敗をしていたのです。
その失敗とは、自分で考えや答えを出したものだけをクライアントに伝え、実践してもらっていたことです。
「答えが見出せない経営者にとって、コンサルをお願いするってそういうものなのでは？」と思われたかもしれませんが、決してそうではないことに徐々に気がついていきました。
大きな問題はコンサルした期間が終了した後です。
短期的にはうまくいっても、私が離れた瞬間からクライアント企業の社長は、自らが考え、行動をして進めなければなりません。
当時のコンサル期間中は社長自らが考えず、私の指示や考えだけでコトを進めたため、無理やり成長したあとのさらなる成長がなく、鈍化、いや劣化すらしてしまったのです。
その光景を見て私は深く反省し、コンサルティイングの考えや進め方を180度変えました。それはどんな方法か？
社長自身、クライアント自らが考えて答えを出し、コンサル期間終了後も自らの足で成長を続けていけるための独自のコンサルティングプログラムを半年掛けて集中開発しました。
創業から3年目のことです。
この独自プログラムを用いて、問題・課題の提起、解決、事業の方向性の確認、商品開発、ブランドづくり、マーケティング、組織体制に至るまで、単なる実務レベルだけではなく、ギフトビジネスを体系的にお伝えし、都度課題をお出ししながら実際にギフトブランド開発や商品開発、販売までできるところまで持っていき、最終的にはクライアント自らの足で歩みを着実にお進めいただけるよう、新しい血の導入と、筋骨隆々な逞しいビジネスの肉体を身につけていただくためのプログラムです。
特に中小企業においてコンサルを依頼するというのはハードルが高いことでもあるので、当然ながら経営にもインパクトを必ず与える、与えたいと強く思って依頼されます。
この重要実務において、経営トップであり、旗振り役であるべき社長が参加されない、参加しても考えや意見を出さないことはクライアント自身の成長・発展にとって、あり得ない話なのです。（ですが、時折いらっしゃるのであえて書いています）
最初の話に戻りますが、I社のI社長は必ず参加されています。社員の方々をとても大事に尊重されている社長なので決して多くは語られないのでのすが、毎回参加されている社員に向けて、会の最後には必ず自らの意見や考えを述べられます。
I社に提供しているコンサルティングプログラムは今はまだ途中段階です。ここからいよいよ成長・発展に向けて佳境に入るのですが、大きなターニングポイントとなったであろうことが、先日のI社長からの素晴らしい考え、アイデアの創出だったのです。
社長自らが明確に考え、方向性、答え、思いを前に出される企業は、コンサル終了後においての成長・成功へのスピードも間違いなく大きく変わっていきます。
なぜなら中小企業にとっての社長は、その組織の中でとてつもなく大きな存在のリーダーであるからです。優れたリーダー、明確な考えを出すリーダーに社員・スタッフは信じてついていきます。この社長なら、この会社なら、このお店ならやっていける、自らも成長できるのだと。
だからこそ、社長の言葉、考え、思いは、常にとても ”重い” のです。