専門コラム 第1話 「ギフトの通販、単一ジャンルでも10億円事業は可能である」
先日、当社にご相談に来られた社長から「通販は、楽天やyahooに出店して好調なので、ギフトにも取り組んでみたいとは考えているのですが、ギフトは斜陽産業のイメージです。実際はどうなんでしょうか?」と質問を受けました。
私の答えは、100%ノーでした。
実はここ数年も毎年伸び続けており、ギフト市場規模は10兆円を超えています。
スーパーやコンビニを中心とした、これも右肩上がりの惣菜・中食ジャンルの市場とほぼ同じ規模。
中元・歳暮も、夏ギフトや冬ギフトと銘打ち、古いイメージを変える企業も多く、ここ数年は1~2%程度の微減くらいで、これまでの儀礼的なギフトから、カジュアルなギフトの需要へ、少しずつシフトしてきています。
伸び続けるインターネット通販が、15兆~20兆円市場と言われている現状から見ても、このギフト市場の10兆円は、十分に巨大マーケットです。もちろん、まだまだリアル店舗でのギフト利用が 90%強を占めているが、ITの進化とともに加速して、通販でのギフト利用は、数年の間に20~30%、瞬く間に2兆~3兆円規模に到達するでしょう。
これまでギフト利用の大半は、百貨店をはじめ専門店など、リアル店舗で買うことが当たり前でした。通販利用が少なかったのは、人に贈るのに現物をまったく確認できないことや、ギフト特有の相談、包装やラッピング、メッセージカードなど細かなリクエストにすみずみまで対応できていなかったことが大きな理由でもあります。
しかし、昨今ではどうでしょう?
ギフトの買い場は通販、特にネットで利用されることが当たり前の時代に急速に移ってきています。子供へのギフトとも言える、おもちゃ市場では米トイザラスが、amazonをはじめとするネット通販に負けて閉鎖に追い込まれたのは記憶に新しいところで、アメリカでは老舗百貨店も同じように追い込まれています。また、有名生鮮スーパーのホールフーズもamazonの傘下になりました。中国でもネット通販の影響で、百貨店が続々閉鎖など、リアルとネットの距離はどんどんと近づき、逆転もあり、日本でも同様のことが起きてきくることは明らかです。
前述のギフト10兆円市場の規模が仮に変わらないとしても、リアル店舗での需要を、ネットを中心とした通販利用が侵食するということです。
一方で、ギフトの通販での注目事例をあげると、イイハナ・ドットコムという、生花を中心としたギフト専門のネット通販会社があります。
売上高は非公表なので、あくまで推測の域を出ませんが、自社運営のギフトネット通販で、10年連続で増収増益を実現されているそうで、しかも花のギフトの扱いのみで、年商は10億円に近いとも聞きます。
大手通販の大きな資本も入り、千趣会イイハナという社名になっていますが、本体とは別に運営されているため、雑貨や食品単品での扱いは全くなく、花単品、もしくは花+雑貨、花+食品といったように、必ず「花」で商品構成されており、単体ジャンルで、ほぼギフト通販に特化した通販会社です。
お花とギフトの親和性はもちろん強い。しかし、生育などの品質管理や、宅配デリバリーが難しい商材で、困難なことも多々あり、本体企業との調整も難しいはずです。
そんな中、単体ジャンルで、しかもギフトのネット販売のみで大きな事業にまでもっていかれているという事実は、ギフト通販の大いなる可能性を示してくれています。