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専門コラム 第133話 ギフトでD2Cへ挑む企業は ”プロダクトアウト” で臨むべし。メーカーポジションこそが ”鍵” 。

先週のある日、当社オフィスにご相談に来られたメーカーの社長が開口一番、こうおっしゃられました。

「マーケッターの方からプロダクトアウトではなくマーケットインでビジネスを組み立ててくださいと言われました。なのでギフトの内祝いマーケットに定めて、自社サイトでの販売に今後取り組んでいこうと考えていますが、それでいいのでしょうか?」

この会社は長きに渡って、優れた商品企画力から冷凍食品ギフトを製造、これまでB to B主体できており、ギフト業界・流通業界では広く知られた企業です。

一方で、自社独自のブランドはほとんどなく、まだまだ浸透していません。

コロナ影響もあり、卸販売での限界も感じている中、新たな販売施策として自社ギフト商品のブランド化と、自社ECサイト販売を模索しており、当社の門を叩かれました。

会社によって、得意、不得意は様々にあります。

ご相談に来られた会社は、強みのある商材をすでにお持ちで、原料調達や製造にも素晴らしい仕組みが出来上がっており、この点で文句のつけどころはありません。

ですが私は初めての自社EC販売で、マーケットインの考え方からいきなり内祝いマーケットを狙うことに、強烈な違和感を覚えました。

内祝いマーケットが、かなりの縮小傾向にあるからというわけではありません。ですが、内祝いを含む儀礼的なギフトは相対的に縮小傾向であることは間違いありません。

このメーカーさんを考えた時、商品企画力、製造力、原料調達力、これまでの実績等々を踏まえると、マーケットインで内祝いに絞り込む必要はなく、結果として内祝いにも選ばれる・・・。そのような戦略が必要であると、すぐに気づきました。

内祝いは当たり前ですが、誰かに何かを祝ってもらったお返しのギフトシーンです。昔はよく半返しと言って、いただいた金額の半額で返すという通例的なものがありました。今では1/3返しくらいになったり、もっと低い場合も時にはあります。

付き合いが深い人同志だと、いただいた金額と同等のお返しというのもある一方で、親・子供の間など、あまりにも近い身内だと、お返し自体が派生しない場合もあります。

マーケットインの考え方自体を否定はしませんが、ギフトの場合は特に展開の最初はシーンにも幅を持たせておく方が得策です。成熟してくれば、シーンごとの展開へはいつでも広げられます。

内祝いの対となるのは、お祝いシーン。これは年間を通じて、誰かに発生します。

誕生日、結婚式、結婚記念、出産、入学、進学、合格、就職、退職、起業、還暦・・・。

私はこう社長にお伝えしました。

「お祝いシーンにまず照準を定めて、それにふさわしいギフト商品開発とギフトブランドを立ち上げましょうよ。」

優れた商品を作ることができる中小メーカーさんは、大手のように綿密なマーケティング調査や分析に基づくような商品開発や販売戦略からではなく、自身の商品のブランディングに力を注ぎ、その商品力・ブランド力から自社独自のマーケットを開拓する方が時間的にも早いのです。

また、今ムーブメントのようにもなってきている現代のメーカー直販スタイル、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)モデルにも直結していきます。

あなたの会社がメーカーでなく、商社、問屋、小売、店舗であった場合も同じです。

自社でしかない商品をOEMで作って、ぜひメーカーポジションに立ってください。

競争激化するECでは、そこに私が推進するギフトという武器をプラスして、独自のギフト商品で流通させる “ギフトD2C” モデルへと、進めていただきたいのです。

マーケットインは消費者ニーズから、そこに商品やサービスを当てはめていくことですが、IT化など時代の流れがますます早くなっている現在未来、中小企業は常にニーズをしっかり捉えて、常に的確な商品やサービスをそのニーズに当てられるのでしょうか?

マーケットが変化した時、即座にニーズの変化に対して反応や対応が出来るのでしょうか?

ある意味これは、無限のループであり、資本やリソースが限られていればすぐに疲弊、あるいは枯渇します。

プロダクトアウトは、優れたプロダクトから市場を開拓していくことです。これであれば、中小企業でも自社独自の商品やサービスを武器に、自社の市場=ファンを作っていくことがで出来ますので、緩やかでも地に足を着けながら、着実に上昇することが出来ます。

大手企業の狙う大きなマーケットとは違いますので、CRM(カスタマー・リレーション・マネジメント)でしっかり抱え込む戦略や、相当のブランディング戦略も必要ではありますが。

あなたの会社は常にマーケットインで考えていますか?

それとも、これからプロダクトアウトで考えますか?