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専門コラム 第29話 「通販利用者は、昔も今のネットも高客単価なお客様」

 昨日の日経MJに、こんなタイトルの記事が出ていました。

■日用雑貨ネット通販利用客増える 利用多いほど高額品購入 平均額、5年で1.8倍

これは調査会社のインテージ(東京・千代田)の調査に基づく、最近のネット通販、中でも普段使いの日用雑貨の利用状況から見た、とても興味深い記事でした。

ここで日用雑貨と区分されているのは、ヘアケア・紙製品(トイレットペーパーなど)・オーラルケア・ボディーケア・エチケット品・ファブリックケア・キッチン用品・環境衛生品となっていましたがリアル店舗の購入先としてイメージするのは、ドラッグストアかスーパーマーケットですね。詳細の数字を知りたい方は、ぜひインテージHP 2018/5/9の記事で確認できまのでご覧いただけたらと思いますが、日経MJの記者の方がポイントとしていたのは、下記の3つでした。

①日用雑貨品のネット通販では、主婦層が多い30-50代女性の利用が目立つ

②ヘアケアや紙製品など幅広い分野の日用雑貨品でネット通販による購入が進む

③頻繁に利用するヘビーユーザーは自分に合った商品であれば、高単価の日用雑貨でも購入する

①の主婦層が多い30-50代女性の利用については、共働き世帯も多いことや普段からネット利用にも慣れているなどから想像しやすいですね。
②の幅広い分野でネット通販での購入が進むについては、最近ではLOHACOが暮らしに馴染むデザインとして花王など大手日用品メーカーと専用品を開発したり、まとめ買いでお得・・・などもありますね。

 当社が注目したのは、③のヘビーユーザーは自分に合った商品であれば、高単価の日用雑貨でも購入することと、記事文中にも合ったのですが各伸び率の変化でした。

各伸び率の変化は、5年前の日用雑貨のネット通販購入に比べてどう推移したかという数字ですが、まず利用率が2012年約20%→1.3倍の26.7%、平均購入額2012年約1,500円→2017年1.8倍の2,751円、平均購入個数約1.7個→2017年2.4倍の4.1個と、利用率以上に購入額と購入個数が伸びていました。

あと先述の③ヘビーユーザーは高単価の日用雑貨でも購入する点については、シャンプーという限られたアイテムに注目した結果も出ているのですが、ネット通販購入数上位5アイテムのうち、大手メーカーの商品は1点だけで、上位10位まで広げても全体ランキングの上位商品は2商品しかなかったとのことです。天然素材を使ったものやスカルプケアなど付加価値の高いものが購入されている傾向がハッキリと出ています。逆に洗濯用洗剤では上位10アイテムのうち、全体ランキングの上位商品が8アイテムあり、付加価値での購入はあまり認められない分、大容量の商品が上位を占めていました。まとめ買いというやつですね。

 このように日用雑貨といっても、アイテムによって購入のされ方に違いはあります。他に、店舗とネットを併用している消費者層は19%に拡大した一方で、ネットで日用雑貨を購入しない層は78%から72%に減少しており、この傾向はどこかの一定数値で止まるとは思いますが、ますます進んでいくと思われます。

日用雑貨のネット通販についての考察でしたが、どの商品ジャンルにおいても、大きな商品ジャンルだけでなく、細かなアイテムによっても消費者は購入場所や購入商品を分けています。自分自身や、家族や友人を見渡してもきっとそうだと思います。

 そして、最も大きな変化だと感じたデータがこちらです。性別年齢別での購入額の変化です。女性では2012年20-50代の中心層が軒並み1.6-1.7倍だったのに対して、60代では2.0倍。男性は20-50代で1.8-2.1倍だったにに対し、60代では2.7倍。

購買力のあるシニア層に、ネット通販慣れした人が増えてきた結果とされています。

年配者はネットに馴染みがない、まだまだカタログやチラシの通販の方がいいなどともう言ってられない時代ではないでしょうか。もちろん70−80代まで上がりますと違う結果にはなると思いますが、どんどんシフトして行くのは間違いありません。

さらにインテージの調査では、1年間に買う日用雑貨品の全個数のうち20%以上と、その多くをネット通販で買う人を『ネット通販高ロイヤル層』と定義づけられ、その数字も出ていました。2012年『ネット通販高ロイヤル層』の割合は3%だったのが、2017年は約2.7倍の8%にまでなっているそうです。

 ネット通販の場合、価格比較や送料無料サービス、ポイントサービスなどがあって、購買力が乏しい消費者も利用しやすい部分もあります。しかし、販売側では宅配送料や各運賃の値上げ、製品を作るためのコスト、各資材の値上がり、人件費の高騰、ネット販売の競争激化などで、簡単に安く提供できる時代では無くなってきています。

ネットのない時代から通販は、ギフトの通販でも、安さを売りにした時代もありましたが、基本的にはいい品質のものを少し買いやすい値段に設定したり、ある一定の金額でまとめてご注文をもらえれば送料無料でお届けします!といった施策でやってきていることが多いので、決して安売りだけの業態ではなかったですし、購入される消費者の可処分所得もセレブとまではいかなくとも、ある程度の収入がある購買力のある層が購入してきていました。特に、通販ではグルメ食品分野、ギフト(贈りもの)がそうでした。

ネット販売が出始めた初期は、信用・信頼性が薄く、購買力のある層の利用は少なかったかもしれませんが、ネットは信用できない・・・といった層は、今ではほぼ皆無でしょう。

この日用雑貨品のネット通販購買傾向からも分かるように、より目利きがあって、消費に積極的な層が、ますますネット通販の世界に進出してきていることがよく分かります。

通販は安くしないと売れないと思い込んでいませんか?

あなたの会社の通販は、価値の提供で勝負できていますか?