専門コラム 第14話 「贈りたいモノと贈られたいモノに、ギフトビジネスの真理がある」
ギフトに関わる仕事をしておりますと、自家需要向け通販だけをされている方から一番よく聞くのは「ギフトって対応が面倒そうですよね・・・」が圧倒的に多いです。
私自身も通販業界からギフト業界へ転身した際は、真っ先に同じことを思いました。熨斗だけでも表書きは50種類くらいあるでしょうか。そこに名入れがあり、内熨斗か外熨斗か、包装は掛け紙にするか完全包装にするか、二重包装って何ぞや?など・・・。地方や地域独特のしきたり、法事法要関係では宗教上のしきたりもあったり。キリが無いくらい、様々なギフト独特の世界が広がります。
これからギフトに本格的に取り組むのであれば、全てに対応せずともできることからで全然構わないのです。今出来ることはコレ、できないことはコレとしっかり決めて、お客様からの要望を聞きながらニーズが高いものを、バックオフィスでの対応が可能なものから少しずつ増やしていけばいいのです。ギフトで最もやってはいけないのは、キッチリできないことを安請け合いしてしまうことです。大切な人に贈るものですから、一般的な通販に比べて失敗が許されません。しかし、しっかりとギフト対応ができる会社であれば、顧客信用を得られ、単なる通販よりも企業価値はより一層高まります。
さて、ここからは今週のお題目、贈りたいモノと贈られたいモノについてです。
母の日ギフトを例に挙げますが、ギフト販売大手のリンベル社の調査ではこのように出ています。もらったことがあるもの、もらって嬉しかったもので双方ともに1位だったのがフラワーギフト。カーネーションに代表されますが、相性バッチリ相思相愛で花ギフトの市場も大きいのですが、もらったことがあるのが66%に対して、嬉しかったとされた方は33%の半分でした。2人に1人は本音ではさほど嬉しくなかったのでは・・・とも読み取れます。
さらにここから下では、順位の差も出てきます。その差が最も大きかったのは「スイーツ」です。
もらったことがあるものでは2位でしたが、もらって嬉しかったものとしては6位です。贈り手は美味しいスイーツだから、きっと喜んでくれるだろうと考えてのことですがもらった方は実はあまり喜んでいない・・・というのが分かります。
ではもらって嬉しかったものの2位から4位も見ましょう。
2位 食事(食事券含む)←もらったことがあるは3位
3位 服飾雑貨 ←もらったことがあるは4位
4位 洋服 ←もらったことがあるは5位
5位 旅行(宿泊券・温泉券含む)←もらったことがあるは8位
旅行はもらうと嬉しい。しかし単価が高いことから贈る側のハードルは高くなります。
では、ビジネスとしてはどう狙うのか。受注を取るためにはまず何より贈りたくなるものというのが絶対的な優先順位。購入されるのは贈る人ですから当然です。自分へのご褒美として買う人もいます。なのですが、贈った結果、あまり喜んでもらえなかったとなれば次回は別のものにしようとなり、リピートされません。これは勿体無いことです。
母の日だけでなく、すべてのギフトシーンにおいて贈り手と貰い手の心理の差は出ます。 ギフトを提案する立場からは、買ってもらえれば売上も利益も上がるからそれでいいというのではなく、贈りたくなるもの、贈って喜んでもらえるもの、この2つの微妙にズレる心理をしっかり見据えた商品、サービス、広告などがあって、企業も消費者も皆んなが喜び、リピート購入へと繋がるギフトビジネスが発展していきます。これが様々なギフトにおける、最も大きな真理と言えます。
あなたの会社のギフト販売は、買う側のお客様だけを捉えていませんか?
贈られた人も喜ぶギフト商品やサービスになっていますか?