専門コラム 第42話 「自分用の通販、ギフトの通販、死命を制するのは〇〇〇である」
通販と聞けば、おおよそ自分用、自宅用に買うものというイメージだと思います。今更で恐縮ですが、通販は通信販売=Direct Marketingであり、消費者はお店や会社へ実際には出向かず、様々な通信手段を通じて、ダイレクトに注文してもらう販売手法です。小売業態の中の一つで、通販は無店舗販売とも言われますね。
現代の注文方法は、ネット・Eメールを通じてが中心の感がありますが、今もなお電話・ハガキ・FAXもあります。媒体ではパソコン、スマホなどのデバイスからのネット媒体、テレビ、ラジオの電波媒体、新聞、折込チラシ、カタログDMなどの紙媒体もまだまだあります。
お店に行かずとも、ダイレクトに販売会社や販売店、メーカーへ直接注文する・・・。もちろんギフトの通販は、その通信販売の延長線上に存在しています。
自分用の通販とギフト用の通販での大きな違いは、もちろん単純です。自分用(自宅用)に買うか、誰かに贈るものを買うかの違いです。もっともな大きな違いですので、誰もが認識できることなのですが、その違いを深めていくと最も大きな違いは、購買心理の違いです。
その購買心理の違いの中でもさらに深めますと、重要な違いは絶対的に意識しておかねばならないのが「価格=値付け」の違いです。
経済界で著名な稲盛和夫氏は「経営の死命を制するのは値決めである」と申されていますが、ギフトの通販ビジネスにおいても死命を制するのは「値決め=値付け」です。
自分用の通販であれば、自分が欲しいもの、必要なものをできるだけ安く買いたいというのが一般的な心理ですが、贈りものの場合は大きく違ってきます。
例えば、3,000円の価値のものを2,980円という値付けをし、通販で販売したとします。この2,980円というのは、3,000円の商品を少しでも多く販売したいので、20円だけ安くして2,000円代に見せるということですよね。自分用の通販ですと、3,000円のものが20円でも安く買えたのだから良しでしょう。
しかし、ギフト購入の多くは予算ありきで購入するので、2,980円という予算は決して組みません。この人には3,000円くらいでとか、5,000円くらいでとかおおよその価格をイメージします。5,000円の価値のあるものを3,000円で買えて贈る・・・これはアリですが、3,000円の価値のものを2,980円で買って贈る・・・これは心理的に微妙です。なぜなら、3,000円という値付けと、2,980円という値付けでは、価格に対する信頼度が低くなってしまうからです。
3千円のものを贈るのと、ニッキュッパのものを贈るのでは良いものを贈った気分にはなれないのです。この微妙な購買心理こそが、ギフト販売における重要な値付けです。
最近では当たり前になってきたコンビニなんかにある、amazonやRakuten、iTunes、Lineなどのギフトカードは、3,000円、5,000円、10,000円のようなキリの良い価格になっています。JCBやVISAなどのカード会社のギフト券もそうですよね。カタログギフトも3,000円コースとか5,000円コースなどです。
しかし、モノ=商品になった瞬間にバラバラな価格設定になり、ギフトですら2,980円や3,980円といった価格を平然と並べている会社やお店をネットでも良く見受けます。さらにギフトをお安く提供しています・・・なども。もちろん値付けには、絶対的正解はないのですが。
安く売れば、自分用であろうとギフト用であろうと売れるでしょう。ただしギフトとしての顧客の質は低くなり、一次的な結果は良くとも「次回はもっと安いギフトを探そう」という顧客しか残りませんし、他社・他店への浮気もされやすく品質、価格、サービスなどをしっかり見極めてギフトを贈るような、上質な顧客には決して繋がりません。
ギフト通販の値付けでは、一番ベストなのは送料込、消費税込で5,000円とかが理想ではありますが、昨今の宅配料値上げや、消費税も変動したりするので難しくもなっています。ですので、せめて商品代だけでも、キッチリ価格に持っていくことが望ましいですし、宅配送料についても、地域別で十種類以上と別れているより、全国一律送料や、難しければ3箇所くらいに料金を平均値でまとめるのも良いでしょう。とにかく自分用の通販以上に、価格を分かりやすく伝える必要があります。
あなたの会社のギフト商品はどんな価格で販売されていますか?
ギフト購入者の気持ちを考えた価格=値付けになっていますか?