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専門コラム 第68話 「中小企業こそ、クレーム対応に経営者も向き合い、従業員を守るべし」

 「悪質クレーム 企業が対策」「従業員守り、休退職防ぐ」「厚労省、来春までに指針」

最近よく話題に上る、新しい言葉、カスハラ(カスタマーハラスメント)について、日経新聞の日曜版に、こんな見出しが踊りました。

提供や販売する商品やサービスが優れていても、お客様への真摯な対応が欠けていては話しになりませんが、正当なクレームや良識ある苦情申し立てへの対応ならともかく、不当で執拗なクレームやカスハラのような脅迫・暴力などに対しては、まともな対応など出来るはずもありません。

記事でも、厚労省が指針を出すとありましたが、よほど法的に刑務所行きなどの効力があるものでない限り、微減程度でしょう。こういったカスハラのようなことは、SNS時代だからこその動画投稿やツイッター投稿などで表に出てきていますが、はるか昔から沢山ありました。

私も通販会社やギフト会社に勤務していたころ、沢山のクレーム対応をしました。

ひどいケースを思い出しますと・・・
「半年前に買った革のパンプス、この前初めて履いてみたら、靴の底がすぐに破れた。返品するから返金して欲しい」返されたパンプスを見ると、明らかに履き倒した跡がある、ボロボロの状態。それでも「そんなはずはない。1回しか履いていない」と言い張る始末。このケースでは返金を行い、その後2度と注文が受けられないようにデータ登録し、めでたくブラックリスト入りに。

「おたくで買ったコンドームが破れていて、相手が妊娠した。どう責任を取ってくれるのか!」と、何と使用済みのコンドームを送りつけてきて「メーカーに検証させますので数日お時間をください」と電話をすると「そんなことは必要ない、今からうちの若い衆をそっちに向かわせるから覚悟しとけよ!」と脅してきました。このケースでは、「分かりました。では、お待ちしております。」と言って電話を切り、念のために警察に連絡を入れましたが、ご来社はありませんでした。

他にも色々と記憶にありますが、酷いと思ったクレームでも意外にその後、優良顧客になってくれたことも多々あります。この線引きがとても難しいところで、日経の記事でも、最終的には悪質かどうかを現場で判断することは非常に難しいと締めくくっています。というか、締めくくれないのが実情です。

クレームの際よくあるのが、責任者を出せ、社長を出せです。担当者は何とか責務を果たそうとして、ギリギリまで踏ん張ります。ですが、1回、2回ならまだしも、頻度が多くなってくると、精神的にキツくなるのは当然です。

通販の場合だとカスタマーセンター(コールセンター)が受け口ですが、相手の顔が見えないこともあるため、キツイ言葉を受けることも多く、そのストレスは半端ないものです。

小売業や通販のようなBtoCだけなく、BtoBの現場でもクレーム対応を経験したことがない人はほぼ皆無でしょう。たった一つのクレーム対応で、その日1日の時間が奪われてしまうこともよくありますよね。下手すれば数日や1ヶ月も引っ張られたりするようなケースもあります。

特に中小企業においては、人材不足が叫ばれている昨今、クレーム負担による休退職は、何としても防がねばなりません。

そのためにも経営者自ら、または上司は、対応にあたる従業員に早めに代わってあげて欲しいのです。従業員のSOSサインをすぐに受け取って、即座に対応してあげてください。

それと今は、クレーム対応の代行サービス会社もあります。電話対応だけでなく訪問まで請け負う会社もあります。こういった外注は、一見コストが高く見えますが、従業員に辞められたり、仕事の時間を奪われたりすることを考えれば、外部活用することも検討するべきです。

一方で、クレームは企業にとって宝でもあります。だからこそ、経営者や責任ある立場の人が、時には自ら対応することで次に活かせることも見つかるはずです。また従業員も、社長が、上司が、一緒に戦ってくれる・・・と、モチベーションを保ってくれるのです。