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専門コラム 第31話 「老舗のブランディング 品質とデザインにどう向き合うか」

 

 今日は、弊社のクライアントの1社である、老舗食品製造メーカー様のリアルな現場からブランディングに伴うコンセプトデザインについてのお話しです。

創業から100年以上を誇り、伝統に裏打ちされた見事な美味しい製品を作り出す食品メーカー様で、地元の認知も非常に高いのですが、主力製品のリニューアル、企業ロゴの刷新までも、思い切っってなされました。

歴史ある企業であればあるほど、変えることは本当に難しい中、とても勇気のある決断です。特にそれが主力製品ですから、リニューアルというより、リノベーションと言った方がいいくらいの大きなことと感じます。

 これまでを支えてこられたお客様を大切にしながらも将来を見据え、これからお客様になってもらいたい顧客ターゲット像を明確にされ、旧来のお客様にも、これからのお客様にもより美味しい製品をお届けするべく、遂に6月1日より発売を開始。

当社は、リニューアルに際し、昨年10月より特にブランディング・デザインにおいて深く関わり、一昨日その出来上がった製品が届いて、完成品をようやく目にすることができました。反響は発売したばかりなのでこれからですが、食味(コク・キレ・食感の良さ)が確実に増しており、見事な味のリニューアルでした。また、装いも新たになった包装資材、パッケージデザインも中身の製品の上質感を表されています。

 このリニューアルは、競合他社との差別化ではなく、独自の強み(製品の特徴・100年の伝統)をより磨き上げれられて、「独自化」を目指されたところから始まりました。では、その磨かれた製品を購入して欲しい人はどんな人なのか?。これを自問自答され、結論として製品の特質上、手土産やギフト利用が圧倒的に多い製品でもあるため、消費や品質に目の肥えた、50才前後の大人の女性を意識されました。

その磨き上げた製品を、そのターゲット像の方々にどう手に取ってもらうためには、どんなパッケージデザインが必要なのか?企業ロゴは従来のものでいいのか?これらブランディングで重要な要素となる様々なデザインについても、同時にリニューアルを着手されています。

 さらに上質となった製品にふさわしいパッケージ、その製品を並べたときに店頭ではどう映えるのか、手土産やギフトで思わず贈りたくなるようなデザインに、ギフト箱を開けたときのサプライズ感をどう出せるのか・・・様々な角度から議論と検討の末、「企業ロゴの刷新」「主力商品のパッケージデザイン変更」「化粧箱、手提げ袋など包装資材のデザイン変更」「Webサイトのデザインリニューアル」などを一連で行われました。

これから複数ある自社店舗や、WebサイトでのEC、カタログDMでの自社通販、流通企業へのギフト商品の卸販売でも、間違いなく大きな成果を生み出されるでしょう。

 昨今では、このように都会地のみならず、地方でもデザインに相当に力を入れられて、おしゃれなデザインも多数見かけるようになりました。食品も、洒落たスタイリッシュな雑貨屋さんにあってもおかしくないようなものも多く見受けられます。

しかし、多くの製品デザインでは、見た目はオシャレになってもどこか雰囲気だけ、お客様も手には取るが購入までは至らない・・・というのが多いのも事実です。では、そういった原因はどこにあるのでしょうか?

見掛けだけのリニューアルでは目の肥えた消費者には響きません。先述の当社クライアントのように、自社の強みをどう磨き、それをどんな人に買って欲しいのか?そのためには、どんなデザインが必要なのかをまず大局から落とし込んでいかねばなりません。

ですが、特にリソースの限られた中小の製造メーカーさんにとっては、考えること自体が大変で、うまくデザイナーや制作会社、印刷会社に伝えることも、なかなか難しい作業ですが、前述の当クライントのように、大いなる決断とその勇気を持って着手するべきです。たとえ主力商品であってもいつかは飽きられますので。

特に歴史ある企業や店舗では、あえて変えない、変わらないことももちろん大切ですが、この ”あえて” 変えないことも、勇気が必要ですし、変えない場合にも確固たる決意が必要です。

変えるにしろ、変えないにしろ、何れにしても、中身やそれに伴うデザインに対して、どこまで深く思考をめぐらせ、自社製品やお客様と常に向き合い、これからのマーケットをどう見据えるか、自社の目指すポジションはどこに持って行くのか。こうっったことが製品にしてもデザインにしても反映されていることこそが重要です。

その深い思考から出てくる答えこそが(思考が深ければ仮説でもいいです)、実際にデザインをするデザイナーの心を動かし、その結果から生まれたデザインが、消費者、お客様の心を動かすのです。

あなたの会社の製品は、見た目だけ、もしくは中身だけを見ていませんか?

中身の充実、見た目の充実が、常に伴っていますか?