専門コラム 第197話 リアル回帰でECピンチ!?ではありません。ギフトEC需要も大きく伸長。
「ギフト141.85%」増。
これは、先日ある大手ECプラットフォームの会社が発表した昨対比の数字の一部です。
ギフトはお分かりの通り人が動き、人と関わることで、絆を深めるために発生します。ですのでこの2年間は行動制限があり、巣篭もり特需からギフト商材が自家消費商材になっており、食品ギフトでは旅行に行けない分、お取り寄せ商材へと変わって大きくEC売上を伸ばしていましたが、純粋にギフト需要としては大きく数字を落としたところもありました。
ではなぜ、コロナ禍が続いているとはいえ行動制限がなくなりリアル回帰へとなった今、ギフトECは大きく数字を伸ばし続けているのか?
では、他の数字も見ていきましょう。日本ネット経済新聞の掲載記事から抜粋します。
提供するプラットフォーム全体の2022年4月~6月流通総額は昨対比101.69%の472億円。3年ぶりの行動制限なしのゴールデンウィークからリアル回帰が進んだにも関わらず、EC利用は前年と同水準で利用されているとのこと。2020年の巣ごもりでEC利用機会が急拡大しましたが、2021年、2022年は鈍化しながらも前年を割り込むことはなく、EC利用が定着したことを示しました。
「2022年5月 全国百貨店売上高概況」では、5月の売上高は57.8%増、入店客数は52.8%増と高い伸びを示しており、購入もリアル回帰が進む中、
それでもECが前年同水準で利用されていたのは、コロナ禍で進んだEC利用が定番化したからと言えるとの見解を示しています。
昨対比の上位5業種は「旅行用品・旅行予約」(178.10%)、「ギフト」(145.85%)、「ペットフード・ペット用品」(116.69%)、「靴」(112.28%)、「スポーツ・アウトドア」(111.84%)。外出機会が増加したことから「旅行用品・旅行予約」「靴」「スポーツ・アウトドア」が上位に並ぶ結果となっています。
ですが、当社の注目はもちろん「ギフト」(145.85%)の伸びです。「旅行用品・旅行予約」に続く大きな伸び率です。
外出に関わる「旅行用品・旅行予約」「靴」「スポーツ・アウトドア」が上位に来るのは当然なのですが、なぜ「ギフト」(145.85%)も大きく伸ばしたのでしょうか?
記事にはこの理由が書かれていませんでしたので、当社クライアント各社の状況なども含めながら考察していきます。
ギフトは先に述べた通り、人が動き、人と人が関わり、絆を深めるものとして利用されます。よってリアルな旅行の手土産や、百貨店の中元歳暮や母の日・父の日、バレンタインなどの催事が最も目立つギフトシーンおよびギフトイベントですが、コロナ以前でもECでギフトを贈ることも定着してきていました。
当社クライアント各社の状況では、先に挙げた中元歳暮など儀礼的ギフトの売上構成が高い事業者さんは正直苦戦を強いられています。もっとも巣篭もり特需時期ではギフト商材が自家需要=お取り寄せとして利用されて大きく伸ばしてはいましたが。
一方で、今もECを伸ばし続けているクライアント企業もいらっしゃいます。旧来型の儀礼的ギフトでなく、パーソナルギフトに当初から注力されていた企業です。ここで言うパーソナルギフトとはギフトイベントで言いますと、内祝いなどのお返しではなく、身近な人へのお祝いとしての贈り物です。
一例を挙げますと、誕生日祝い、出産祝い、結婚祝い、新築祝い、結婚記念日、還暦祝いなどのハレの日需要。これらはライフイベントとも言います。
ライフイベントは母の日・父の日などのシーズンイベントと違って、1年365日、誰かに発生するギフトイベントです。
それと中元歳暮のような旧来型の儀礼的ギフト=フォーマルギフトとも違い、身近な家族・友人・恋人に贈るよりパーソナルなギフトです。身近ではあるけどなかなか会えない、会えなかったコロナ禍はもちろん、行動制限がなくなったとはいえ、リアル店舗をじっくり見ながらでなくまだまだ人混みを避けたい今の状況から、ECでのパーソナルギフト需要が伸びているのではないかと、当社クライアント状況から推察しています。
今あなたの会社が、すでにギフトECに取り組んでいる、これからギフトECに注力していくのであれば、すべてのギフトイベントに注力するのももちろんいいのですが・・・
いかにパーソナルギフト需要を取り込むかで、安定したギフトEC事業へと育ちます。
パーソナルギフトに最適な商材はあるか?
パーソナルギフトに最適な価格になっているか?
パーソナルギフトに最適なECマーケ施策になっているか?
ぜひ考えてみてください。