専門コラム 第185話 値上げやむ無し・・・。しかし、この機に価値評価を高められる企業は強いのだ!
先日の日経新聞の1面で、社長100人アンケートをした結果、 ”景況感「悪化」4割に増加” “ロシアの侵攻・資源高で” “販売価格「転嫁」78%” という見出し記事が出ました。
そんな折、当社のクライアント企業でギフト販売が中心の製造メーカー、S社長から先週こんなご相談のお電話をいただきました。
「園社長、今全ての原価が高騰していまして。もう全商品の値上げをせざる得ない状況です。これまで支えてくれているお客さんには本当に申し訳ないのですが。何かいい打ち手はないでしょうかねえ?」
そうは言いつつ、これまでも何度か違った理由でしたが度々原料高騰にあってきたS社長の会社は泣く泣く値上げを実施してきたにも関わらず、その売上はずっと右肩上がり。
この理由は、値上げのたびに行ってきたことにあります。自社製品のブラッシュアップです。それと値上げのたびに背景・実情を自社サイトにアップし、有料顧客にはダイレクトメールで正直に、実直にお伝えしてきたことです。
「S社長、これまでと同じですよ。お客様に実直に、正直に現実を伝えて、製品では何らかのブラッシュアップを施してください。」
もちろんこれまで、値上げで静かに去ってしまった幾人かの顧客もいるでしょう。ですが「逆境に負けないでください!応援しています!」という涙が出るようなメッセージをいただいたり、単純に客数や購買数が同じでも、値上げをした分、売上・利益が上がり、製品の価値評価も高まっていったのです。
一番の愚策(策とは言えないが)は、しら〜っと、ブラッシュアップもせず、告知もなく、値上げすること。販売価格は据え置きで、内容を減らした実質値上げであってもです。
今の消費者はネットなどどこからでも多くの情報を仕入れていますし、販売側の想定以上に色々なことをよく知っています。ごまかそう、はぐらかそう・・・といったような意図が見えてしまうような策は多くの人に通用しませんし、かえって信用・信頼を失いかねないのです。
ではどうすればいいのか?
その答えは至ってシンプルなのです。
まず・・・
・なぜ、値上げをせざる得なかったのか?を正直にお伝えする。
さらに・・・
・値上げを行うにあたり、製品・商品を少しでもブラッシュアップさせる。
この2つを最低限実施することで、お客様からの信頼・信用を得ることができ、企業価値・商品価値の向上へと繋がるのです。
ナショナルブランド、いわゆる有名大手企業の日常生活必需品(食品・消費財)ではそこまでの必要はないかもしれません。なぜなら、値上がっても生活するのにどうしても必要なものにすでになっているからです。
信用・信頼の面においても長きに渡ってブランド浸透されていて、企業規模においても信用・信頼を得ているからです。
一方で、有名ではない中小企業の財産は、大手ほど多くはない自社の大事な顧客・ファンです。この方々の期待を裏切らないために、さらに期待に応えるために少なくとも先に挙げた2つのことを、実直に、正直に行うことが大事なのです。
特に日常生活品ではない、ギフトのような比較的高額な商品の場合では。
今、まだ続くコロナ禍や戦争の状況によって、資材高騰、原料高騰、物流費高騰などになっている業種業態は多数あると思います。ここで値上げせざる得ない会社は多いでしょう。
大きなピンチを大きなチャンスに変えるために、ここで価値評価を上げるためには、もう一度申し上げますが、顧客のために弛まぬ企業努力をすることと正直、実直であることです。
あなたの会社では値上げの時、どんな策を打ちますか?
単に販売価格をアップさせるだけですか?