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専門コラム 第19話 「衝動買い、非衝動買いが自分用とギフト用との決定的違い」

 

 ライブコマースをご存知でしょうか?簡単に言いますと、テレビショッピングのネット通販版のようなもので、このライブコマースの先駆者である中国ではKOL(キー・オピニオン・リーダー)という、影響力のある個人が商品を紹介するそうで、KDDIはネット通販モールWowma!(旧DeNAショッピング)とテレビ朝日の通販番組が連動する形で、若手人気俳優がKOLとなり、楽天市場でもタレントが商品を紹介する形を導入するとのことです。(楽天では以前、出品者が動画を出していたが視聴者数が伸びなかったそうで)Yahoo、メルカリなども出店者が動画配信できる仕組みを導入しました。

今後、このライブコマースがどう進化し、定着して行くのかは興味深いところではありますが、単純に何でも動画に・・・と流れには、大きな違和感を覚えます。もちろん、ネットやスマホが生まれた時からあって慣れ親しんだ世代には動画だけが反応できるコンテンツなのかもしれませんが。

 ネット通販がまだまだだった時代の通販(1990年前後)といえば、テレビショッピング、ラジオショッピングの電波媒体、チラシ・カタログ・雑誌などの紙媒体の大きくはこの2軸で、今よりもテレビの視聴率が高く、広告効果も高かった時代にテレビショッピングで成功を収めていたのは、日本直販、日本文化センター、少し遅れてジャパネットたかたや、オークローンマーケティング(ショップジャパン)などでした。中でも大きく成長したのは家電通販のジャパネットたかたでしたが、商品が動かないカタログや新聞折込チラシもテレビ以上に大全盛で、ニッセン、千趣会、セシールなど次々と一部上場を果たしていく通販専業企業が続々と出てきました。

私自身、そんな時代の中、カタログやチラシの通販も多数経験しましたが、一番驚いたのはテレビ通販でもなく、カタログ通販でもなくラジオショッピングの威力でした。ある時、関西ローカルエリアだけの生放送枠で、とらふぐセットを紹介したのですが、何と1回の放送で1万円の商品が1,000セット、平日朝8時からたった1分のコメント紹介で1,000万円を売り上げたのです。ラジオですから全く商品は目には見えないのに・・・高級外車1台分の金額をたった1分で叩き出したのです。

もちろん成功の大きな理由はあります。出稿したラジオ番組は、先述のKOL(キー・オピニオン・リーダー)にあたるのが、長寿番組の人気パーソナリティで、熱心なファン、リスナーがいること。ふぐという商材的に、季節が12月初旬、ふぐを食べる文化圏の関西、高級なトラフグが1万円で沢山食べられる企画であったことなどが重なりあっての結果です。

ラジオ通販で言えば、人気パーソナリティ。テレビ通販で言えばジャパネットの高田明さんや、トーカ堂の北さんなど超人気MCの商品紹介が何と言っても強く、手に取って見ることのできない通販でのショッピングでは、MCの信用、演出がまずありきで、そこに商品の魅力や価格の魅力などが加わり「売れる」という形になっていきます。(ちなみに私自身がラジオで初めてMCを務めたときは、同じ商材であったにも関わらず、たった4つの受注しか取れませんでした・・・)もしくは30分くらい延々と語りかけてこれでもか!と畳み掛けるアメリカ式のテレビショッピングです。

 ライブコマースに戻りますが、商材によっては動画が効果を発揮するものも多いにあると思いますが、静止画が向いている商材もあるのではないでしょうか。また何より、誰がその動画で商品を紹介するのか、売れるためには一番のキーポイントになるでしょう。時代を遡ってみれば明白です。またライブコマースに合う商品というのもテレビショッピングの中に大いなるヒントを見つけられるのではないかとも。

 ギフトの通販で考えますと、今までテレビショッピングでギフト商材が売れたという話しは一切聞きません。この理由は明白で自分用に買う通販と違い、衝動買いが全く無いということです。常に贈るシーンからのアプローチになるため、ギフトでは、商品の良さや安さをいくら影響力のある人が訴えたとしても、贈るシーンがなければ全くもって不必要だからです。

通販は、いかに効率よく沢山集客し、そのお客様にいかに本商品の購入やリピート購入(違う商品を買ってもらうことも含めて)していただくかという基本的な2つの要素からビジネス設計がされます。それが目標KGIを達成するための通販の各KPI(数値指標)である、CPO、CPR、CPA、CRM、LTVや、RFMなどのデータ分析とも深く関わってきます。

ギフトの通販も基本的には同じです。しかし大きく違うのは、もっと根幹的な部分、自分用の通販=衝動買いがある ギフトの通販=衝動買いはない。このことを十分に意識した上で、どういった販売チャネルの選択、アプローチ、広告表現手法、商品設計など、一連のマーケティング活動を最初から想定して行う必要があります。

あなたの会社の通販はどのように全体設計をして運営していますか?

自分用もギフト用も同じようなアプローチで売っていませんか?