専門コラム 第18話 「どんな小さな会社も、大企業や大きな市場と常に対峙している現実」
月刊ギフトプレミアムというギフト専門の業界誌があります。数年前までは、従来のしきたりや旧態依然としたお返しギフトの販売会社やノベルティなど法人ギフト販売会社、またそれらの会社に商品納入をするメーカー、問屋などが対象だった感じの業界誌ですが、最近ではITの進化など時代の変化からSNSの活用など、様々な取り組みや事例など幅の広い情報が網羅されるようになりました。
一口にギフトといっても、その切り口、商品、販売、ターゲットシーンなど相当に幅は広いです。この月刊ギフトプレミアム3月号で取り上げられて記事だけで、こんなにもあります。(記事の中身は省略します)
・持続可能なライフスタイル
・2017年葬祭ビジネス
・2018年最新婚礼データ
・2017年歳暮商戦結果と課題
・ポイントサービス使い手の意識調査
・インテリア市場の新トレンド
・BtoCが必要な時代のeコマース
・バレンタイン義理チョコ
・ホビー市場ユーザー4,200万人
・中国リポート
・ギフトECサイトの処方箋
…など
ギフトのビジネスは簡潔に述べますと、利用シーン、商品(またはサービス自体が商品の場合も)、サービスの3つから成り立ちます。自家用消費の場合は同じ場合もありますが順序が違って、商品やサービスが利用シーンを喚起して需要を喚起することも多いです。例えば、若いOLがコンビニで美味しそうなプリンを見つけて「今日は一日仕事頑張ったから、少しダイエットをお休みして食べよう!」と買い物への言い訳もつけながら買っていく感じです。
ギフトの場合はいい商品、いいサービスがあるから贈ろうとはなりにくく、贈るシーンがまずあって、そのシーンにぴったりな商品やサービスが求められることが多いです。一方で、販売側がシーンを何よりも先に置いてしまいますと、相当に幅の広いギフトシーンに対して、何万点もの商品を最低限でも用意しておかないと、お客様にご満足いただける品揃えや対応は不可能でしょう。
こういったビジネスモデルが成り立つのは、これまでですと百貨店であり(それでも苦しい)、大ショッピングモール(リアルもECも)であり、一部のギフト販売会社、年間何十万点もの商品や在庫を動かせる、大きな商社・問屋だけです。
中小のギフトビジネス、特にメーカーにおいては、贈りたくなる商品やサービスを作ることから「贈る」シーンを喚起させ、そこからうまく活用拡大していくことが、独自化を作り出し、競争脱却も含めた成功への近道です。
店舗販売でも同じですが、大手に品揃えで真っ向から立ち向かっても当然勝ち目はありません。ギフトの通販においても、シーンはもちろんギフトにおいて最も重要ではあるのですが、すべてのシーンに対応することが重要なのではなく、その前に商品強化、品揃え、カテゴリー、サービスの絞り込みを行い、それらに合ったギフトシーンやギフトイベントをチョイスし、広告、販促、BtoBであれば営業を仕掛けることで、自社の強みを軸に持った形での販売に集中ができ、効果と効率を同時に最大化させることが可能になります。
最もマズイのは、様々なシーンやお客様に対応しようとして、中途半端に色んな商品を扱い、品揃えをどんどん増やし、何屋さんなのか分からなくなってしまうことです。特にEC(ネット通販)では小コストで様々な商品を無尽蔵にアップできるので陥りやすいことです。
そういった状態の中で、仮に社長の大号令(怒号??)や、社員スタッフのド根性で短期的に売上を上げられたとしても、在庫管理コスト、平均商品回転率の低下、在庫過多などに陥りやすく、思うように受注が取れないと最悪は資金繰りにまで影響するでしょう。
販売活動の現場においても、集中した販売の形にはできずどうしても散漫になり、現場社員やスタッフも疲弊。全てが非効率、非生産的となり、利益は少なく、次への成長も当然見込めません。
大企業や、大きな市場に対して、戦い方を一歩間違えたり、真っ向勝負では当然負けます。どうすれば優位に戦えるのか、優位なポジションに立てるかをひたすら考え、導き出した結果を実行し、PDCAを回す。どんなビジネスにおいてもあるべき姿ですが、ギフトも含めた通販ビジネス、ECチャネルにも、大企業もいれば、沢山の競合がひしめいていることは事実です。だから、大きな市場から抜け出すためにニッチな市場を狙っていく戦略を取る企業もあります。(それがいいかどうかは企業の商品やサービスによりますが)
あなたの会社は、自社独自の強みを磨き続けていますか?
自社の商品を磨くことより、品揃えに一生懸命になっていませんか?