• お気軽にお問い合わせくださいTEL : 03-6869-7085
  • 〒104-0061
    東京都中央区銀座 6-14-8
    銀座石井ビル4F

専門コラム 第175話 売上242億、赤字28億。が、時価総額は4,560億!理念とスピリットのサステナスニーカーD2Cブランド。

「allbirds 米ナスダック新規上場」「調達額340億円、時価総額は4,560億円」

11月3日、ネットだけで100万足を売るサステナブルスニーカーD2Cブランド〈allbirds〉が新規上場したというニュースがネット上に駆け巡りました。

「スニーカーと言えば、やっぱりナイキじゃないの?」「俺はアディダス派かな。」とかスポーツ系スニーカーなら結構ブランドが決まっている感じですよね。

この新規上場したallbirds(以下オールバーズ)は一切、卸販売をしていないので、街の靴屋さんや小売店、百貨店で見かけることはありません。

なぜなら、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)モデルだからです。

要するに、自社から消費者、顧客への直接販売しか行っていないのです。

自社ネット販売から始まり、ECでは35カ国で展開中、直営の実店舗も増やしていき、世界で27店舗。2020年にはオールバーズジャパンも設立。原宿に第1号店、大手町に2号店がオープン。なんと原宿店は世界1位の売上だそうです。

さらに自国アメリカ内外での実店舗展開を大幅に増やすことを計画中とのことで、大きな資金調達を新規上場によって得ました。2015年の創業から、たった6年で・・・です。

話が大きすぎるので、ここからは消費者目線・経営目線へと落としていきます。

・オールバーズについて

【元サッカーニュージーランド代表のティム・ブラウンとバイオテクノロジーの専門家ジョーイ・ズウィリンガーが2015年に設立。自社ECのみで販売するというD2Cのビジネスモデルで、ニュージーランド産の最高級のメリノウールを使用した「ウールランナー」は“世界一履き心地の良いスニーカー”として人気を集める。サステナブルな製品開発で知られ、ユーカリの木の繊維を用いた「ツリー」などのシリーズを展開。社会や環境に配慮した事業活動を行っている会社に与えられるBコーポレーション認証を取得している。】

実際にオールバーズのスニーカーを先日、スニーカー好き(だと思う)私の妻の誕生日にサブギフト(もう1品!)として公式サイトから注文し、先日送られてきました。実体験したスニーカー商品に込められていた、これから大きく羽ばたきたい中小企業にとって大いに参考になるであろう、大事なことをここから書きます。

特にラッピングなどのギフト対応はなかったので(あえて対応していないのかどうかは判りませんが)靴箱に送り状が貼られて届きました。その靴の箱を開けると、シンプルなデザインの中にも、あらゆるところにオールバーズからのメッセージが書かれていました。

better things in a better way=より良い方法でより良いものを

↑ 最も伝えたい理念

life is for living not wasting=生命を大事に

simplicity in every step=すべてのステップでシンプルに

made from the world around us=世界の身の回りにあるもので作った

↑ そのための手法

so soft, you can wear sockless=とても柔らかく、素足で履ける

 

a breeze to wash=洗いやすい

↑ 商品特徴

いかがですか?

メッセージカードやリーフレットがなくても、細やかな各所で、オールバーズの理念・信念・取り組みがしっかりと、しかもダラダラではなく、超シンプルに ”短い言葉” にギュッと詰め込まれていました。

アウトプットされたものを目にすると、なるほど・・・と思えますが、製品を出す前、商品を売る前の壮大な構想、そのための準備の時間でアイデアを詰め、資金調達も含めてサステナブルなモノづくりを、苦労して実現したからこその ”短い言葉” なのです。

プレゼントを受け取った妻は、このオールバーズのことを知らなかったのですが、デザインも気に入り、実際に履いて出かけるとその軽さに驚いていましたし、履き心地もすごくいい!とのことでした。

2020年、2021年と続いたコロナ禍。2022年も世界ではまだ広まっており、予断を許しません。オールバーズのようなSDG’s、D2Cモデルの先駆者だから成功している・・・。果たしてそれだけでしょうか?

もちろん現在の時代背景から、EVのテスラ車のようにそのことも大いに関係しているでしょう。ですが、SDG’sに取り組むことや、D2Cに取り組むことがこれからの経営にとって最重要なのではなく、いかに自社の思いや取り組みの姿勢を相手(BtoBでもBtoCでも)に、シンプルに、短い言葉で、デザインだったりで、いかにわかりやすく伝えるか。

デジタルネイティブのZ世代が溢れ出してくるこれからの時代、どの事業、どの経営においても今後ますます、求められてくるのがこのオールバーズのような ”短い言葉”で表す、スピリットではないでしょうか。

社長の理念が社内に深く落とし込まれるのには、相当時間が掛かったり、結局1/8程度しか伝わらない。昨日もある集まりで、飲食事業で大成功している社長からですら、このように聞きました。それが現実でしょう。ですが、社外だけでなく社内にもわかりやすく思いを共有させ、浸透させることは、このオールバーズのように分かりやすく表現することで可能になるのです。

年内の当コラムは今日が最後ですが、この年末年始、2022年以降に向けて自社のスピリットを今一度、ぜひ深く考えてみてください。

コロナが終焉することを祈りつつも、相変わらずのwithコロナであったとしても立ち止まることは出来ませんが、社員・スタッフ・家族・取引先・お客さま・社長ご自身を、ぜひ貴社のスピリットで、2022年以降も、明るい未来へと導いてください!

では、また来年お会いしましょう!どうぞ、よいお年をお迎えください。