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専門コラム 第191話 新事業、新商品の成功率たった1割は本当!?成功確率を高めるためにシンプルな2つのこと。

昨日のことです。クライアント食品メーカーS社のS常務にある用件があってお電話したのですが、弾んだお声でこのようなことも聞けました。

「お客さんが戻って、工場がフル稼働状態です。いや〜、これ以上注文を捌けません!」

「いやー、本当によかったですね!コロナ禍で苦しまれた分、取り戻してくださいね。」

こんなご報告を受けるのは、コンサルタントをやってきて本当に良かった!と、まさにコンサルタント冥利に尽きる瞬間です。

このS社は私の著書の中で一つの成功事例としても紹介させていただいている、東日本大震災から復興した企業で、自社店舗・EC通販・卸売の3事業を営まれているのですが、お土産品のギフト商品がメイン商材なので、コロナ禍では特に実店舗が大きな影響を受けていました。

ですが、大苦戦していたコロナ禍の中でも挑戦を続けてきた結果、EC通販事業は伸び続け、さらに今の行動制限解除後に、新たなる事業の実が育ってきているのです。

この新たなる事業というのは、コロナ禍の最中に新たなスタイルで観光客を対象にしたこれまでの店舗ではなく地元客にフォーカスして、イートインコーナーも備えた新店舗でした。

出展を検討していた時に、このようなご相談を受けていました。

「おかげさまで、コロナが始まってからECは巣篭もり需要からさらに大きく伸びていますが、店舗事業は本当にヤバいです。売上は昨対で8割ダウンです。」

「でも駅構内でとてもいい場所が空きそうなので今のうちに新規出店したいと考えています。どう思われますか?」

当時、コロナが日本も世界もまだまだ増え続けていて、どうしようもない・・・という状況でしたので、私は「挑戦的されるのはとてもいいことですが、下手したらコロナが何年続くか分からない状況ですので、さすがにもう少し様子を見た方がいいんじゃないですか?」

しかし、チャレンジ精神旺盛なS常務は引き下がりません。

「では、地元客をターゲットにした店舗ならどうですかね?。駅構内のその場所は、1日約2万人の通勤客が毎日通る場所なんです。地方ですのでテレワークも進んでいませんので。」

「なるほど!それなら地元客というターゲットに合うようにしっかりコンセプトを立てて臨めば可能性はありますね。地元の人に愛されている店舗ということになれば、コロナが収まったら観光客の需要まで取り込めそうですね。」

「そうですね!分かりました。しっかりコンセプトを立ててみます!」

そして最終的に出来上がった店舗は「一週間に一度の食卓をちょっと贅沢に」をコンセプトに、これまでのように自社製品だけの扱いだけの店舗ではなく、地元で繋がりのあるこだわった食材を作る他社メーカーさんの商品も多数扱い、セレクトショップのような品揃えかつ、それらをイートインで試食できたり、ランチも提供する体験型の新店舗としてオープン。

とはいえコロナ禍ではさすがに大成功!とまではいっていませんでしたが、旧型店舗が8割減の中、新店舗は収支トントンで推移し、そして今、観光客が戻ってきて当初の読み通りに地元客、観光客、双方の来店で賑わってきています。

よく新規事業や新商品は「10個作って、1個でも売れれば成功だ!」とも言われます。

要するに9割は失敗する、成功確率は1割だと。果たして本当にそうでしょうか?

いや、それでいいのでしょうか?

当たらずとも遠からず・・・とも思ってはいますが、これはリソースの豊富な大企業や、一部のIT企業的な理論で、特に中小のメーカー企業に当てはめてはいけないと考えています。

私自身が大手企業に在籍していた頃、新事業立上げや新商品開発を数多くやってきました。今でもその時に立ち上げた事業、開発した商品は世の中に結構残っていたりするのですが、一方で消えたものも数多くあります。自身の感覚では成功確率3割といったところでしょうか。

ですが、今の仕事ではほとんど中小企業対象にメーカー企業も指導させていただいています。資金、人材などリソースの限られた中小企業では9割も失敗しては会社が持ちません。

では、何が新事業や新商品を高確率で成功させるために必要なのか?

まだインターネットのなかった時代、私が通販会社に入った当初です。この会社では新規顧客集客によく新聞折込チラシを使っていました。当時の上司からは「いいか、園。通販はチラシ1000枚配布して、5件の注文があれば自社ビルが建つんだ!」とよく言われました。

裏を返せば、955人=95.5%という、ほぼ全員に無視されてもビジネスが成り立つということです。配布方法を新聞折込ではなく、もしチラシを1枚ずつ1000人に順番に手渡ししたとしましょう。

配り出して半分の500人まで1つも注文されず、ようやく600人目や700人目で初注文されることもあるわけです。

半分の段階で「あー、売れないなー。もう時間の無駄だな、配るのをやめよう。」と諦めたら成功は決して訪れず、チラシ代や人件費は単に水の泡です。

最後までやり遂げた結果、2人だけでも注文があったとすれば、採算割れはしたけども「この部分を修正すれば5人に買ってもらえるのではないか?」など、次に向かう大きなヒントを得られたりするのです。

新事業や新商品を高確率で成功させるためにはマーケティング分析や様々な戦略立案や施策の実行なども当然大事なのですが、それらを生かすためにもこの2つのことが根底にあることに尽きるのです。

まず「常にチャレンジを続ける」こと。

そして「成功するまで諦めない」こと。

あなたの会社では、新しい取り組みを途中で放り投げたりしていませんか?

常にチャレンジし、やろうと決めたことに諦めず取り組めていますか?

当社ではギフトやEC通販で新事業を立ち上げたい、売れる新商品を開発したい、今の事業をもっと発展させたいという中小企業を支援しています。意欲ある経営者との出会い、いつでもお待ちしています。