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専門コラム 第216話 新たな市場や売上を創出するために最も大切なこと。

「防災への関心がゼロの人を、どう1にするか。」

これは、3.11東日本大震災から12年経った先日の3月10日、日経MJの第1面に掲載された、防災ベンチャー企業CEOの言葉です。

CEO自身が幼少期に経験した阪神淡路大震災、ボランティアで駆けつけた東日本大震災での経験から、防災の市場で、これまでほとんど表だっていなかった ”ギフト化” を実現されていっていることが大きく書かれていました。

防災を”ギフト化”できた理由は、優れた商品やサービスを思いついたからか?

そうではありません。

人はどうしても目に見える商品やサービス内容からビジネスを作ろう、見ようとします。当然分かりやすいからです。そして多くの経営者は売上や利益などの目標数字からそれらの商品やサービスのことを語ります。

順調に目論み通りビジネスが回っている時の積み上げや、勝負するための土台がしっかり出来ている状態であれば、そのような”点”での捉え方でもいい場合もあるので、決して間違っている訳ではありません。ですが、目の前の改善、ブラッシュアップ程度であれば・・・です。

今あなたの会社の事業がうまくいっていなかったり、近い将来に不安な状態であるならば、一刻も早く、根本、根底から見直さねばいけません。現状解決の”改善”ではなく、根本解決の”改革”です。

先の防災ベンチャー企業の話に戻します。

防災をギフト化し、生み出したギフト商品は『LIFE GIFT』と名付けられた、防災グッズのカタログギフトです。バリエーションとして防災食に絞られた『LIFE GIFT food』もあります。

日経MJの記事によると、ここ1年間の販売冊数は初年度の1.7倍。結婚祝いや出産祝いといった人生の節目で活用されることが多く、贈り物として受け取った人からは

「防災への関心が高まった。他の商品も買いたい」

「どの商品が優先順位が高いのか」などの問い合わせがあるという。

小売店からも注目され、東急ハンズが21年に全店舗で販売。阪急うめだ本店や東京都内、福岡市のセレクトショップでも商品が紹介されたとのこと。

さらに特に伸びているのが法人需要で、「周年記念や防災対策で社員に贈りたい」といった要望が急増し、大手旅行会社や保険会社などから注文が舞い込み、こうした需要を受けて、22年夏頃から法人用にロゴの印刷や商品ラインナップをカスタマイズ出来る法人向けのサービスを始めたとも。

新たなギフト市場の創出を”防災”という、どちらかと言うとネガティブなイメージも付き纏う商材を、人々に喜ばれる”ギフト”として成立させている好例です。

他にも以前に当コラムでもご紹介したことのある、Yahooショッピングでも防災ギフトをEC サイトで一昨年から取り組みを始めており、サントリーも21年から9月1日の防災の日に合わせた防災プロジェクトとして、サントリー天然水とランタンが当たる企業キャンペーンを展開。

ここ20-30年内、いや明日にでも起こる可能性があるとも言われ恐れられている南海トラフ地震があり、マーケティングの見地から見れば、防災関連市場は有望でしょう。

ですが先の防災ベンチャー企業は、単に「儲かりそう!」だから防災ギフト市場を開拓した・・・という訳ではないのです。

最も大切なこと、それは防災カタログギフトをなぜ世に出したのか、生み出したかの理由です。

自身の震災体験、ボランティア経験をしたCEO。

「培った経験を災害から命を守るビジネスに活かせないか」

そこから・・・

「防災への関心がゼロの人を、どう1にするか」

自身もよく身近な人の誕生日や昇進祝いなどに防災グッズを贈り、

「他の人とかぶらず、相手を大事に思っているという気持ちも伝わり喜んでもらえていた」

どんなビジネスにおいても変革が必要な時、新たな取り組みが必要な時、最初に考えるべきことは、商品案やサービス案ではありません。

「何故、それをするのか?」

「何のためにするのか?」

「人や社会のために役立つのか?」に尽きます。

あなたの会社の思いは、自社の商品やサービスに込められていますか?

新たな市場や売上を創出するための思考を、深くめぐらせていますか?

当社ではこのような根幹づくりからの指導と支援をさせていただいます。ぜひ、そんな当社の門を叩いてみてください。次回5月のセミナーからはリアル会場開催も再開します。

熱い経営者の方との出会いを、いつでもお待ちしております。