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専門コラム 第131話 サービスの無償提供は、お客様にとっても事業者にとっても ”悪” でしかない。(具体的事例あり)

日曜の日経MJ第1面に、Amazon上陸から20年とのことで特集記事が組まれていました。

アメリカのみならず、この日本でも最強のネット通販企業となったAmazonですが、上陸当初は書籍のみ。そこからCDも増え、書店やレコード屋が業界丸ごと、飲み込まれましたよね。

当初はカテゴリーキラーだったAmazon。

そこから様々な分野の商品にも進出し、アマゾン・エフェクトという言葉まで生まれ、その影響力はネット通販の世界だけに留まらず、様々な実店舗やリアルのショッピングモール、百貨店にまで、特に本国アメリカでは、事業縮小や撤退までも迫る勢いで伸びてきました。

何がAmazonをここまで押し上げたのか。

見解は様々あると思いますが、圧倒的な品揃えというだけでなく、通販ビジネスにおいて最も大きい武器である「利便性」を高めたことでしょう。MJの記事にもありましたが、注文した翌日、もしくは翌々日には商品が届く。掲載している大量の商品のどれを注文してもすぐに届く。このサービスと圧倒的な品揃え、そして最も価格が安いものをトップ掲載にする。

この3つが重なって利用者がどんどん増えていきましたが、中でも翌日に届く!ということが、起点になったのだと思います。(いっときは、当日届けの取り組みまでありましたが)

通販事業にとって先にも述べた「利便性」の中で、早く届くことは最も重要な事項です。受注後のキャンセル率を大きく下げることにも繋がります。

物流を制するものは、流通を制する・・・ともよく言われますが、Amazonはまさに物流システムを構築、制したからこそ、また大量に捉えたハウスリストをプライム会員という、より強固な形に変換させたことで、さらに今日の大成功があると言えるでしょう。

翻って、超巨大な総合通販企業になったAmazonには果たして弱点はないのでしょうか?

私から見てその弱点は、ギフト対応です。

もちろん、Amazonでもギフト対応はやっていますが、まだまだ日本人の気配り、細やかさに対応する術は持ち合わせていませんし、全体戦略の中で、重要施策としても見ていないのでしょう。

単に通販(自分用に買うもの)で、独自性の薄い商品や、どこにでも売っているような商品を自社サイトで売るだけやモール出品しているだけだと当然ながら価格競争に陥ります。

先週のコラムでも申しましたが、品揃えで中小企業のネット通販が勝てますでしょうか?

働き方改革や今はコロナ対応もある中、翌日配送などの生産や在庫、出荷体制を年間を通じてコントロールができて、安定した対応ができますでしょうか?

Amazonや大手モール、大手流通に中小零細企業が、ネットの中で対抗するというのは、象に向かう蟻のようなもので同じやり方、同列商品では勝ち目は到底ありません。

だからこそ私は、特に中小企業のEC・ネット通販では、Amazonの弱点でもあるギフトという武器を携えて、しかも独自化されたギフト商品やサービスで勝負していただきたい。そう強く思っています。

ではまず、Amazonのギフト対応を見てみましょう。ギフト利用したい時、ラッピング袋入れやシール熨斗をしてくれるサービスがあります。しかも有料です。(オリジナルメッセージが入れられるカードのみ無料)

最低限のギフトサービスだと思いますが、これで有料なの?という内容ですので、大切な人への贈り物として満足いただけるギフトサービスなのか、商品ブランドを大事にしたい事業者だと、こんな位置に熨斗シールを貼って欲しくないというケースもあるでしょうし、お客様によっては内熨斗や巻き熨斗にして欲しいという要望もあるでしょうが、対応されていません。

そこでぜひ中小企業のネット通販でオススメしたいのが、Amazonのギフトサービスを凌駕する、ギフト商品化とギフトサービスの充実、そしてそのサービスの有償化です。

サービスの有償化では、売上の積み上げのみならず、経営上すごく重要な利益確保に大きく繋がります。

ここで一つ、実例をご紹介します。

二次需要が難しかった包丁のギフト化で需要喚起を行い、自社サイト・Amazonの売上が3倍にも増えた、ある地方メーカーの社長は以下のギフトサービスの有償化を実行されました。

税別

・ギフトバッグ      300円

・ギフトラッピング    300円

・熨斗        100円

・メッセージシール  100円

・名入れサービス   500円

すべてのサービスを利用されれば、1,300円になります。

メイン商材の上代が10,000円(税別)なので、合計11,300円。なんと13%もの売上が上積み!というわけです。

そして先日、このような嬉しいご報告もいただきました。

「園先生、ラッピングではこんな選択をしていただけています。社内ではこんな顧客様には絶対に間に合わせています!」

熨斗以外の全ての有償サービスを利用された、実際のご注文明細はこちら。

最初のメッセージでは「結婚式に何とか間に合わせたい」という切なる願いと、全てのギフトサービスが有償でも利用したいという、大切な人に心からお祝いしたい気持ちがこの注文明細から十分に読み取れますよね。

単なる作業のピッキング表ではありません。

この明細を提供者側から事業経営目線で見れば、無料サービスだと利益的にマイナスでしかないものが、一転して大きくプラスになるのです。

このケースでは12%も売上アップになります。

もし全てを無償サービスにしていたら逆に12%マイナスとも考えられますし、サービス原価が仮に設定金額の50%でも、6%もマイナスです。

サービスを無償にするか有償にするかで、合計18%〜24%もの売上金額が変わるのです。

「そうは言っても、競合他社は無料でいろんなサービスしているからなあ」とお嘆きの社長もいらっしゃるかもしれません。

要するにAmazonも含めて、他社と競合しなければいいのです。

ただしその方法は、すべてのギフトサービスの質を有償でも利用したいと思わせるものであること。すなわち全てのギフト資材が、クオリティの高いクリエイティブであることが必須です。

有料でもサービスを使いたいと思わせる、質の高さが求められます。

このメーカーさんは隅々まで実践されているからこそ、商品価値やブランド価値、企業価値が上がり、ギフト化からたった1年で実際に売上3倍を実現されています。

タダほど高いものはない・・・とよく言われますが、無償で提供できるものにはコストも質も当然限りがあります。これを続けていくと、サービスレベルはいつまでも低いまま。

お客様にとっても提供事業者にとっても、”悪” でしかないのです。

広くお客様の言うがまま、もしくは競合や同業他社の状況に振り回されて、何でもかんでも無料サービスにしていたりしませんか?

何でも無料を求めるお客様より(いいお客様と言えるのか?)、競合他社の動向を気にするより、有料でも使いたい!と思ってもらえる質の高いギフトサービスを提供をする。

質の高いサービスを提供できれば、質を求める、質の良いお客様に応えることでファンを作ります。お客様にとっても、提供事業者にとっても、真の良きサービスからこの流れが作られていきます。

独自のギフト化が実現できれば、おのずとお客様が変わり、売上利益も大きく変わります。

あなたの会社も、今こそ独自のギフト化に力を注ぎませんか?

そんな志のある社長・企業を、私は全力でサポートし、応援します。