専門コラム 第118話 中小企業のブランド戦略は「継続」が最も強い源泉となる。
「『ブランドが確立しないと売れず、適正な利益も得られない』と断言されましたがなぜですか?」
先日、クライアント社長からギフト通販のコンサルティング現場で、こう質問を受けました。この後説明をしようとしていた途中でしたが・・・。
さて、当コラムを読まれているほとんどの方がギフトを誰かに贈られたご経験がおありかと思います。
例えば2つの同じような商品を実店舗で見比べながら、どちらにしようか悩んでいる時、同じ価格、同じスペックでありながら、片方には何の商品説明もなく、何のブランド名もなく、片方には聞いたことはないがブランド名があり、そのブランドストーリーや、商品開発秘話が詳しくPOPに記されていたとしたら。
あたなたら、どちらを選びますか?
もし何も記されていない商品が、一方より3割安かったら少し悩むかもしれません。ですが3割高かったとしても、名もなきブランドであったとしてもブランドストーリーや、商品開発秘話がしっかりと記されていれば、ギフトシーンでは選ばれる可能性がとても高くなるのです。
自分用への購入だと、3割安い方に流れる割合はギフト利用よりは多くなるでしょう。
私は、ここで何の具体的な例も示していません。それでも多くの方がこの違いをお分かりいただけるのではないかと思います。
質の高い、いいモノさえ作っていればいつか人は分かってくれて売れていくだろう。
もちろんこういった考え方も間違いではありませんし、質の高い、いいモノを提供することは絶対です。
ですが、その価値を分かっていただくためには、一人でも多くの方々に利用していただかねばならないため、同業他社より少しでも安く提供する必要があり、そのために梱包資材の簡略化や軽量化でのコスト削減、広告宣伝費を抑えたり、パッケージデザインをプロに依頼せず、自身の会社で、適当に行ったりするでしょう。
モノの価値を消費者が実際に手にとって使用することでしか分かってもらえません。
結果として、何とか安く提供できて、自分用に使ってもらえたとしても、ギフトで人に贈ろうというところへは決して繋がっていかず、売り上げるのにも時間が掛かり、得られる利益も低くなります。
もう一つ、問い掛けます。
誰かにギフトを贈ってもらったご経験もたくさんおありかと思います。届いたモノの価値以上に、贈り主が色々悩んだ結果のモノであったことに贈られた価値を感じられたことはありませんか?
そう、相手の想いやりこそが”ギフト”です。その想いを表現しているのが選ばれたモノなのです。
直接いただいたり、宅配便で届いたりしたギフト商品が、質素なパッケージで何のブランド名もないモノであるより、エコでは少々ないかもしれませんが、綺麗な包装紙や化粧箱に大事に入れられ、ブランドストーリーや商品開発秘話が書かれた”しおり”が入っていたりしたら、贈り主がそれらに触れたからこそ、この商品を選ばれたんだな・・・と思われまませんか?
そのギフト商品を使用してみて気に入った場合、自分もまたいつか誰かに贈りモノで使いたいと思ったことはありませんか?
先に申しました、包装紙・化粧箱・しおりといったものは直接モノに関係せず、さっさと捨てられることが圧倒的に多いでしょう。
提供者からすると費用を掛けて、苦労をして仕上げたものであるにも関わらず、とても悲しい現実ですが、これは致し方ないのです。あなたも消費者としてはそうではないでしょうか。
ですが後々まで残る”コト”があります。それは受け取った時、届いた時のギフトとしての”好印象”です。これが大事なのです。
昨年の当コラムでも取り上げましたが、私の妻が買ったヴィトン直営店舗で買った財布は、財布そのもの以外に、11種類もの化粧袋・化粧箱・ブランドカード・ショップカード・財布を包む資材などが入っていました。それらはすぐに捨てていましたが、財布だけを裸で安く購入していたら、ブランドの世界観を感じる価値は半減していたでしょう。
あなたの会社が、いいモノだけを作っていればいい・・・という考え方、もしくはうちにはセンスもないし、やり方も分からないからブランドは作れない・・・と思っているのでれば、私から見るとそれは言い訳であり、ブランドを作ろうとしていない、その価値を理解しようとしていないだけ、もしくはそれら一連のことを面倒に感じているだけです。
代々続く歴史ある会社なら、先代から脈々と受け継がれてきた様々なものはブランドストーリーの強い源になり、これから立ち上げようとするベンチャー企業にとっては、手に入れたくても入れられないことですし、それがたとえ古くから大きく会社が成長していなかったとしても、事業を継続できていることこそが、とても素晴らしく貴重なのです。
年商が多いか少ないかではありません。
顧客に支持され続けていなければ”継続”は決してできないのですから、”継続”はとても貴重な財産です。
事業継承の場合、この”継続”を意外にも軽視されている、次世代経営者にお会いすることが時折あります。先代と同じようなことはしない、新しくやりたい・・・気持ちは分かります。
ですがもったいないのです。先代が苦労をして築いてきた礎、特にギフト需要を喚起していく場合、小さくてもブランドを磨く、作ることが最重要でこの”継続”というのは、長きに渡らなければ、なかなか得られない”信用”であり、とても大きい核になるのですから。
あまり歴史のない会社であっても、たとえ創業からまだ1-2年でもゼロスタートの大きな苦労があります。そういったご苦労も、ブランド表現やギフト商品に反映させることはできます。
やるか、やらないか。これだけです。
ブランド力の向上に悩まれていたら、ギフトを強くされたいなら、ぜひ当社の門を叩いてください。
あなたの会社の価値を上げ、末長く売上利益の向上に貢献するギフト通販ビジネスを軸に、ブランドを強くするノウハウをお伝えします。