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専門コラム 第97話 ケースステディからの考察。1粒 1,900円するバレンタインチョコの価値はいったい何なのか?

 今週の金曜、2月14日はバレンタインデーですね。

日本記念日協会によると、昨年2019年「バレンタインデー」の市場規模は2019年時点で、前年比約3%減の約1260億円だそうです。

この3%減の理由は義理チョコが減ったことのようですが、それでも1,000億円を超える市場で、ギフトの一大イベントです。

日本一、バレンタインの売上を上げると言われて久しいJR名古屋高島屋は、たった1ヶ月、しかもバレンタイン イベントだけで30億円の売上!毎年すごいです!

私は今月1日、初めてそのJR名古屋高島屋バレンタイン催事場に行ってきました。平日の午後でしたが、ものすごい人でなかなか前に進めないほどで、大半のお店で行列が出来ていて、各店のショーケースを見るのも一苦労するといった具合。

週末は入場制限まで行われていたようです。

人の多さに驚いた以外に、ビックリしたのは、無料で配布されている紙のカタログでした。

120ページに渡って、注目ブランドやパティシエの紹介、バレンタイン コンシェルジュによるトレンド紹介など、編集も商品写真(ほぼ全品新撮されていると思われる)

もデザイン統一され、表紙や中面の紙の厚さも立派。

↓実際のカタログ

 30億円も売り上げるから・・・とも言えますが、そこまで売れていないときにもこういった取り組み、先行投資としてされていたのではないでしょうか。

このカタログと全く同じ世界観で作られているのが専用サイトです。

↓JR名古屋高島屋 バレンタイン ブランドサイト

https://amour.jr-takashimaya.co.jp

 私は催事場で、1粒1,500円のおそらく会場内で最高額と思われるチョコを見つけ、参考に買おうとしましたが、行列の多さに断念し、オフィスに戻ってから、高島屋オンラインサイトで同じブランドのチョコを探しました。

そこには同じ1,500円のチョコがあったのですが、他にバレンタイン 限定、通販限定で1粒なんと1,900円!、2粒セット3,800円のチョコが販売されており、思わずそれにしました。

このブランドはあの ”ブルガリ”が、2009年に日本から世界発信に向けて立ち上げたショコラブランド、「ブルガリ・イル・チョコラート」です。

↓ブルガリ・イル・チョコラート ブランドサイト

http://gourmet.bulgari.com/shop/default.aspx

↓宅配便(冷蔵)で届いた、実際のブルガリチョコ画像

チョコレート1粒1,900円の価格が、バレンタイン市場に対して適正なのか否か・・・

チョコを作るための原料原価や製造原価はいったいいくらなのか・・・・

この世に今までなかったほどに美味しいのか・・・

もはやそんなことはブルガリにとってはどうでもよく(多分)、ジュエリーや時計などで名を馳せるブランドの ”世界観” を1粒1,900円のチョコ、パッケージに込めているです。

いくらチョコレートとしては超高級な価格といっても、数百万もする商品に比べれば、ブルガリとしては微々たる金額で、大きく企業の売上に貢献している事業ではないでしょう。

目的、真意までは関係者の方に伺ったわけではないため計り知れませんが、新たな顧客開拓としてのブランド認知の拡大、既存顧客への深掘りなどではと推測します。

ここ15年程、モノからコトへ・・・と、マーケティングではそう言われ久しいですが、月日が流れ、ネット社会となり、SNSが当たり前になり、世界が繋がっている時代。

モノ=製品(サービス含む)、コト=体験。

もちろんモノもコトも大事なのですが、長く顧客に愛され支持されるために今の時代でより重要なのは、商品やサービスを提供する側の”世界観” を伝えることです。

 ブルガリのように、すでに超有名だから成し得ることなのでしょうか?

名も無きブランドでも、”世界観” を込めて伝えることは出来るのではないでしょうか?

浸透するまで時間は掛かるかもしれません。

ですが、ある程度浸透した時に一気加勢に広げられるのも、ネット経済社会ならではですし、小さな事業者でもベンチャーでも中小企業でも可能性があるのです。

あなたの会社が懸命に経営されているなら、気がついていないだけで、立派な”世界観” があるはずです。あとは、その”世界観” を磨き上げて表現してください!