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専門コラム 第101話 【ギフトでブランディング】優れたケースステディの考察 ”線香花火”

今日3月11日、東日本大震災から9年。決して忘れてはならない天災ですが、そのことも吹き飛ばすかのような新型コロナウィルス。日本全国一致団結し、いち早く収束するための行動をして、早期の収束を願うばかりです。

さて、この101話目以降のコラムからは、前回100話目のコラムでお伝えした通り、優れたギフト商品にスポットをあてながら考察する機会を増やし、ギフト化からのブランディングにお役立ていただきたいと思います。

今日は、なんと10,000円の価格で売られている「線香花火のギフト」を考察していきます。

先日、出張先のホテルで何気にTVを見ていた時、この花火の取材番組が目に飛び込んできました。

このギフト商品を作り出した会社は、福岡県みやま市にある「筒井時正玩具花火製造所株式会社」でした。

まずは、この10,000円の線香花火ギフト商品をご覧ください。

(筒井時正玩具花火製造所Webサイトより)

完全なるオリジナリティと職人技、そして花を模した花火、こだわった付属品の和蝋燭と木製のローソク立て。

それらを引き立たせるパーケージデザイン、桐箱でナチュラルさと高級感を演出し、「花々(はなはな)」と命名した、愛らしく上品なネーミング。まさに完璧です。

商品には線香花火を人の人生になぞらえたストーリーブックのような栞も添えられているようです。

(筒井時正玩具花火製造所Webサイトより)

誕生期~青年期~大人期~晩年期。線香花火を愛する想い生まれたようなこのアイデイも素晴らしいですね。

スーパー、コンビニ、玩具店、ネットなどで売られている、打ち上げ花火より小さくて価格も安く、地味なイメージの線香花火。

果たして、こんな値段の高い線香花火が受け入れられるのか?売れるのか?

世に出すまではまったく分からず、開発コストだけが増え、楽しみである反面、不安も多かったことでしょう。

番組では、この花火ギフト開発以来、雑貨店などを中心に引き合いが大きく増え、1本あたり数円〜10円程度の中国産の線香花火に対して、こちらは1本あたりに換算すると250円。なんと25倍以上もの価格設定にも関わらず、出荷数をどんどん伸ばしていったそうです。

ギフトという商品ではなく、ギフトという行為を通じて、”価値”、”ストーリー”が受け入れられたのだと思います。

もちろん、花火そのものの品質も高い技術力で、本当に高いものであるようでしてYouTubeでは色んな人が、普通の線香花火との違いを比較していますので、ご興味ある方は見てみてください。

今、筒井時正玩具花火製造所さんのサイトを拝見しますと、全国に取扱店が広がっており、中にはBEAMS JAPAN、日本百貨店、銀座三越、兵庫県立美術館、中川政七商店など、線香花火を含む花火などを通常取り扱わないような有名店やセレクトショップで、たくさん取り扱われています。

線香花火のギフトという、これまでになかったギフト商品開発を通じて、従来の花火の販売ルートではなく、新しい市場・販路を開拓された・・・わけです。

私の著書にも書かせていただいていますが、ギフト商品開発で最も重要なポイントは、日常品をいかに価値の高い非日常品に変換できるか!?です。

ギフト商品を選ぶ際、人は相手のことを思って、喜んでもらえそうな商品を選んだり、価格=予算を決めます。まず、このことが大前提にあります。

ではどのようなモノが選ばれやすいのか?

・ブランドや提供企業がすでに有名、口コミやレビューなど一般評価が高いこと(信頼感)

・失礼がないパッケージや梱包、包装であること(信用性)

さらにあらゆる商品がネットで簡単に検索できて手に入る中、

昨今では・・・

・作り手の顔が見えること(親密感)

・商品にストーリー性があること(物語性)

・手に入りづらい ※実際にはそうでなくても、そう思わせる(希少性)

大切な人に贈るものであるからこそ、信頼・信用はまず第一に必要で、すでに有名ブランドであったり、誰もが知るような大手メーカーであればこの点はクリアされていることが多いでしょう。

中小零細企業や、小さなお店は有名ではないので、信頼・信用も工夫を凝らしたPRの上で、さらに親密・物語・希少を、ギフト商品そのものに込める必要があります。

今回ご紹介した、線香花火のギフト、いや ”筒井時正玩具花火製造所さんの線香花火のギフト”は、まさにこれらを体現されています。

ここまでギフト価値が高い商品に、何気に見たTVから出会えたことに感謝です。

今夏、もしこの花火が手に入るなら、大切な人へ贈って喜んでもらいたい。さあ、誰に贈ろうかな?と、すでに私は頭を巡らせています。

(こんな花火ギフトなら、夏でなくてもいいかもしれませんね)

あなたの会社にも、日常の中に転がっている、非日常の世界であるギフト商品化の原石がどこかにあるかもしれません。ぜひ目を凝らしてみてください。

※ 追伸

筒井時正玩具花火製造所さんのギフト商品は、10,000円の花々だけでなく、下の価格ラインも用意されており、プライスゾーン別でのマーチャンダイジングも秀逸です。

また、会社の歴史や経緯、原料、製造へのこだわり方もここでは書き切れないくらい多数の魅力的なコンテンツと、それらを表現するクリエイティブがありますので、ご興味をもたれた方は、ぜひ下記URLにいってみてください。

筒井時正玩具花火製造所Webサイト https://tsutsuitokimasa.jp