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専門コラム 第65話 「通販単体で10億円売上を実現させていくための現実論」

 ECだけで通販展開している場合、通販年商は5千万円未満が多いかと思います。

そのような中で、通販単体で10億円超えというのは、通販参入する多くの中小企業にとって生半可な数字でないことは十分に承知していますが、一方で成し得ている会社もあります。

その規模まで売上拡大していくために、商品と同じくらい重要なのは販売する場所、通販ビジネスにとってのお店=媒体(チャネル)です。

ここから10億円超えへの道筋のために、この”媒体(チャネル)”の側面から見ていきます。

自社の通販事業のチャネルが・・・

①自社サイトでの販売のみ

②自社サイト+他のメディアもミックス(紙媒体など)

この①と②は他社の販売システム(モールなど)や、卸販売に全く依存していません。最大のメリットは顧客リストを自社保有し、広告宣伝や販促が自由にコントロールできる点です。さらにリアル店舗展開までも考えられ(通販→店舗展開へ 食品の茅乃舎や、アパレルのドゥクラッセなどが代表的)、30億、50億、100億と描いていきやすいでしょう。しかし、広告宣伝投資の費用回収期間が多く掛かるデメリットがあり、大半の中小通販にとってはあまり現実的ではありませんが、売上に加えて利益も確保しやすく、最も理想的な形でもあります。

③自社サイト+モール出店(楽天、Amazon、Yahooなど)

このモール出店を加える形はよくありますが、この場合、大半の企業がモールの売上の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。この形態で、たとえ10億円超えをしても出店料、販売手数料、広告費も多額になり、自社顧客リストもさほど増えていかず、結果として営業利益も非常に低いものになるでしょう。

④自社サイト+卸販売

当社クライアントにこの④の形で、通販事業単体で10億円超えを達成できている企業があります。このクライアント企業では、通販向け商材(雑貨・食品・ギフトもあり)を、以前は自社通販でも行っていましたが、現在は、ほぼ通販卸のみで10億円超え(会社全体の年商は20億円)を実現しています。卸販売でありながらも独自商品開発や独自企画から、卸先に対して主導権を握る形を作り上げているので、利益もしっかり確保できています。

④のように卸販売も通販チャネルとして捉えるか異論はあるかもですが、理想は先の①や②のような、あくまでも自社の顧客リスト獲得と活用が中心となる通販ビジネスです。しかし、企業の特性や、得意商材などから、卸販売もモール出店も行なった方がいい場合もあります。

ベースにする考え方や取り組み方は同様であっても、100社あれば100通りの進め方、目指し方があって然るべきなのです。

とは言え、年商5千万が「いきなり10億なんて・・・」という声も聞こえてきそうですが、各社ごとに最適なチャネル選択やチャネルミックスを行い1億、3億と着実にステップを踏みながら、販売体制づくりや施策に取り組んで行けば、10億は不可能な数字ではありません。

通販事業をキッカケに、本業の数字に好影響を及ぼすようなシナジー型から10億超えを達成しても構わないのですから。