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専門コラム 第63話 「贈る相手の喜ぶ顔が見たい=贈り先ファーストの時代」

 矢野経済研究所による、ギフト市場に関する調査が昨年末に発表されています。毎年発表されている前年度までの調査発表なのですが、小売ベースで104,430億円、前年比102.3%と、2017年もプラス成長でした。

市場規模が10兆円を超えていることはあまり知られていませんが、以下のグラフにもある通り、直近でも2015年以降、また今後も着実に伸び続けていくと見込まれています。

旧来のギフトは儀礼的な側面からのフォーマルギフトと呼ばれるものが市場を牽引していました。中元・歳暮・結婚祝い・出産祝いや各内祝いなどです。このイメージだけですと、ギフトは衰退しているのではないのか?と思われがちですが、今の市場を牽引しているのは、どちらかというとより身近な人へ贈るカジュアルギフトと呼ばれるものが隆盛です。

カジュアルギフトの代表的なイベントは、母の日・父の日・敬老の日や、誕生日・クリスマス・バレンタイン、旅行などの手土産が挙げられます。

発表によりますと「近年は母の日、父の日、敬老の日といった、自分より目上の人に贈るカジュアルギフトが大きく拡大している。高齢化社会の進展で贈られる対象人口が増加したこと、贈る側の年齢層も高まり購入単価の上昇がみられたことなどが大きな要因であるが、身近にいる大切な人に対するギフトが重要視され、日頃の感謝の気持ちを表す機会となっている。」とあります。

その他、注目トピックとして「儀礼的な意味合いの強いフォーマルギフトにおいて、以前は贈るモノ(物品)よりも贈るコト(行為)自体が重要視され、洗剤やタオル、食用油などの常備品や日持ちの良いものなど、一般的で無難な商品を贈る傾向が強かったが、昨今は、「相手の喜ぶようなモノ」を贈りたいという需要が増えており、いわゆる“贈り先ファースト”が商品選びのポイントとなっている。贈る側のこだわりだけでなく、贈られる側を意識したギフト選びの傾向が高まっている。」

将来展望においては「儀礼的な要素の強いフォーマルギフトは時代の流れと共に縮小傾向にあるものの、「ギフト」を贈るというコミュニケーション手段は、親、子供、友人等といったよりパーソナルな、そしてより親密な間柄において重要度を増していることから、今後もカジュアルギフト需要を中心に市場は拡大基調にあるものと考える。」ともあります。

ギフトに関する大規模な調査は非常に数少ないので、内容がほぼそのままな点については何卒、寛大にご容赦いただきたいのですが、ここまでの中で、私が特に注目したのは、その名の通り「注目トピック」の中の「贈り先ファースト」の部分です。

当社のコンサルティングでも以前からこのことは強くお伝えしていることですが、内容にあるように今までは無難なものを贈る傾向にありましたが、これからのギフト商品は”相手に本当に喜ばれるモノ”を贈りたいのです。

そういった状況の中で、出てきたのがコトギフトと呼ばれる、アクティビティやクルーズディナーを楽しむなどの体験型ギフトと呼ばれるものや、スタバのドリンク券などをメールやSNSを通じて贈るソーシャルギフトと呼ばれるデジタルギフトの伸長などです。

儀礼的な中元・歳暮でも、旧来の代表的なギフト商品としては海苔・缶詰など常温の乾物であったのが、スイーツや全国の産直品などの需要が増えてきており、母の日でも定番のカーネーションだけでなく、花とスイーツのセット商品の需要がものすごく増えていたりなど、その傾向は大きく変わってきています。

今のギフト商品は、関係性の薄い人、ビジネス上のお付き合いの人などへ儀礼的に無難なものを贈ることが減った分、家族・親戚・友人などより親しい人、身近な人へ贈るため、贈る側は、”選ぶモノのセンス”も求められることになります。

こういった需要に応えていくにはやはり、贈りたくなるような商品、相手に喜ばれる商品という視点からの商品設計や商品開発が求められます。そのためには中身の製品のブラッシュアップだけでなく、ギフト商品の場合、パッケージ、化粧箱、包装、手提げ袋などのデザインはもちろん、メッセージカードなどのギフトサービスに至るまで、気を配る必要があるのです。

それに、相手に喜んでもらえそうという魅力ある商品は、思わず自分用にも買っちゃおうとなりやすくダブル受注の可能性も大きく広がります。そのような経験、誰もがあるでしょう。

あなたの会社やお店のギフト商品は贈りたくなるようなモノになっていますか?

贈った相手が喜ぶ、贈り先ファーストに応えられる仕様になっていますか?

ぜひ「贈り先ファースト」の視点から、見つめなおしてみてください。