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専門コラム 第7話 「考えなきノベルティ・プレミアム販促は、企業価値を下げる」

 

今年もいよいよあと2週間を切りました。連日の忘年会続きで、飲み過ぎだなあという方も多いのではないでしょうか。

ご自宅では、年賀状の準備やクリスマスケーキやプレゼントの仕込み、おせちや年末年始のご馳走準備、帰省の移動チケット確保、ポチ袋はまだあったかな・・・など、いろいろなことで慌ただしくなってくるのが、今頃ですね。

 ビジネスの世界では年末需要、年末商戦、年内に仕事のメドをつけるために大忙し。そのような中、営業の現場では得意先へのご挨拶回りがあります。企業名が名入れされたカレンダー、手帳、タオルやらを営業マンが得意先に配って挨拶に回られるわけですが、大半は捨てられるか、適当に扱われてしまうことも多いのが年末年始ご挨拶用のノベルティ=企業販促品です。

当社で毎年重宝しているのは、ある保険会社さんが持ってこられる壁掛けカレンダーです。デザインがシンプルでとても書き込みがしやすいところがいいのですが、残念ながら社名部分は正直いって邪魔なので切り落として使います。保険会社にすれば、何てことを!と思われてしまいそうですが、どこの会社のものかは分かっているので、ノベルティとしては、成功の部類に入るのではないでしょうか。

年末の得意先周りでのこういったノベルティ品は、顧客とのコミュニケーション、営業マンの訪問用ツールなので、極端に言えば、使われようが捨てられようがいいのかもしれませんが、せっかく貴重な時間と経費を掛けて、大事な得意先に持っていくなら、本当に使われるものでないともったいないなあといつも思います。

 今週は、BtoC通販でカレンダーを、プレミアム=顧客への特典として秀逸な利用をしている会社がありますので紹介します。

カニやおせちの販売量では、おそらくネット通販でNo1ではないかと思われる、大阪にあるスカイネット社です。この会社は自社Webサイト、自社通販を中心に事業展開されており、創業10年ですでに60億円もの売上を積み重ねられている通販会社です。

かに本舗、匠本舗という屋号でネット販売からスタートされ、最近ではラジオショッピングやDMなど紙媒体まで展開されています。商品そのものを見てもそうですし、顧客へのアプローチ、伝え方、見せ方、広告プロモーションにとても優れた企業です。

年末に毎年届くDMの中に顧客へのプレゼントとして、カタログと一緒に同封されているオリジナルのポケット付きカレンダーがあります。ポケットにはレシートやクーポン、ハガキなどが入れられるという体裁です。ポケット部分にはフリーダイヤルや、ネット検索の誘導、QRコードが記載されていて、月が変わってカレンダーがめくられても、ポケットの部分はずっと見えていますので、カレンダーを利用されるお客様は、一年間ずっとそのポケットを目にすることになります。Amazonダッシュボタンのアナログ版のような役割ですね。

この会社は、圧倒的な主力商品がカニやおせちなので、11月12月時期の販売が極端に高いビジネスモデルで、1-10月までの10ヶ月という長い間、見向きもされない可能性もあるので、このカレンダーは顧客を繋ぎ止めるために、よく考えられた非常に有効な販促ツールと思います。時折、クーポン付きのハガキ型DMも発行されていますし。

 ほんの些細なことですが、普通のカレンダーに少し手を加えて、顧客にとって利用価値のあるカレンダーに仕上げ、毎年の年末に送るDMでプレゼントをする。このカレンダーを毎年楽しみにしているお客様もきっと沢山いらっしゃるでしょう。気の利いた会社とも思われ、企業のブランディング向上にも繋がります。

ノベルティやプレミアムは、差し上げたものが喜ばれて利用されることが重要です。仰々しいラッピングなどが必要なわけではありません。本当に利用されてこそ、企業名を覚えてもらったり、ご指名やご注文を受けたりと、販促品として真の効果を得ることができます。全く不要なものや、他社と同じようなどうでもいいものをあげるのでは、誰の喜びも生まず、下手をすると中身を見ることもなく捨てられてしまいます。

 通販での販促は、送料無料や割引クーポン発行、ポイント値引きや直接割引など、価格に直結するものが最も効果的で即効性ある手段であることは当たり前ですが、気の利いたプレゼント特典も、時には有効な手段です。

化粧品の通販では、購入者全員にオリジナル化粧ポーチをプレゼントというのが昔からよくあります。これは販売商品との相関性が強くあり、比較的に気の利いたサービスで、購買の意思決定にも即効性として繋がる、プレミアム販促です。また、通販ではないですが、女性雑誌によくある付録の流行りもいい例です。昨今ではわざとでしょうが付録がメインで雑誌がおまけみたいな、本末転倒なものも多く見かけるくらい。古くは、グリコのおまけなんかもそうですね。

一方で、大きな危険も潜みます。無料の特典だからといって、製造コストを抑えるために安い素材を使ったり、デザイン性、ファッション性が悪かったりする場合、お客様から言われることは100%「いらないものを付けるなら、その分を値引いてくれればいいのに・・・」です。無料特典の販促品を付けたにも関わらず、全くの逆効果でかえって印象を悪くし、受注も取り逃がしてしまいます。

 ノベルティ=販促品、プレミアム=特典品、何れにしても、実際にもらうお客様が本当に喜ぶものか、受け取る相手の気持ちや利用シーンをよく考えた形である必要があります。

ただ配る、ただあげるでは作る経費、配る経費が掛かるだけでなく、企業価値をかえって下げてしまう危険性と反面性があることを、念頭に入れておかなければなりません。上段から構えて、短絡的にタダであげるものだからというような態度で、ノベルティやプレミアムの販促に取り組むことが、最も危険なのです。

あなたの会社の販促品、特典品はいただく人に本当に喜ばれていますか?

お客様が利用したいという形になっていますか?