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専門コラム 第59話 「売れるプライスゾーンに集中してしまう落とし穴」

今週末はクリスマス。ビジネス目線で言うと、クリスマス商戦が真っ盛りです。

プレゼント好適品、ホームパーティや外食、ホテル宿泊に関わる業界は大いに盛り上がる時期です。その関係性は親と子(小さな子供・大人の親子関係も)、恋人、夫婦、友人など様々に発生します。

消費する年齢で言いますと、現時点での60代からは少し下がる傾向にありますが、若い頃からクリスマスイベントを謳歌してきている今の40代-50代は、60代-70代になっても楽しむでしょうから、まだまだこれからも大きな市場としてあり続けます。

そんなクリスマスの消費者リサーチをここ数年、楽天インサイト(株)が実施発表しています。詳しくは下記URLからご覧になれます。ご興味のある方はぜひ見てみてください。

https://insight.rakuten.co.jp/report/20181206/

サンプル数は20歳~69歳の1,000人だけが対象ですが、各調査内容を見ますと、おおよそ世間一般で思える感じに合っているのではないかと思います。

調査内容は・・・

・今年のクリスマスは誰と過ごす予定か?

・クリスマスの予定を立てるタイミング

・今年のクリスマスに欲しいプレゼント

・今年のクリスマスに贈りたいプレゼント

・クリスマスプレゼントの平均予算

・今年のクリスマスプレゼントの購入場所…など

各々とも興味深いのですが、今回のコラムでは、、小売で全ての商品・サービスに通じる「予算」の調査内容から考察します。

なぜ「予算」の考察を行うかについてですが、当コラムでも以前より申し上げているように、特にギフト=贈り物の場合の購買動機は「イベント・シーン・購入予算」ありきだからです。また小売ビジネスの根幹の全ては「販売価格=商品、サービスの価値」であるということも大いに関係してくるからです。

では、2018年 楽天インサイト(株)の予算調査の表をご覧ください。

世代や性別でも変わってはいますが、クリスマスプレゼントの平均予算は2017年の8,959円から、2018年は8,477円と、5.4%下がっています。最も多い予算帯は、両年とも4,000円~5,000円で、2017年=18.3%2018年=17.1%となっており、この中心価格帯のシェアも下がっています。

一見すると単価が下がっている?と見えますが、価格帯別の増減では見方が変わってきます。2017→2018年を、ボリュームの大きい4つの価格帯を別々に見ますとこうなります。

2,000円~  3,000円 15.1%  → 14.8%      2.0%

4,000円~  5,000円 18.3% → 17.1%       6.6%

7,500円~ 10,000   11.4% → 16.3%    43.0%

10.000円~20,000   16.7% → 12.2%    ▲26.9%

2,3千円、4,5千円、1,2万円といったこれまで人気のゾーンは減っていますが、7,500円10,000円は何と43%も増えています。中心価格が上と下から移動しているともとれます。

その上の価格帯はどうでしょうか。高額になっていくためシェアは少ないですが、高価格帯の⑥30,000円~50,000 が大幅に伸ばしており、50,000円以上も僅かですが増えています。

20.000円~30,000   4.6% → 3.0%    ▲34.8%

30,000円~50,000   2.0% → 2.5%   25.0%

50,000円以上      1.8% → 1.9%     5.6%

全体の平均予算は下がっていますが、③ 7,500円~ 10,000円の価格帯が購入予算の中心に近づき、  ⑥30,000円~50,000円以上の価格帯が増えている傾向にあることが見えます。

ギフトの世界では、中元・歳暮などの儀礼的なものから、誕生日プレゼントなどのパーソナルなものまで、様々なギフトシーンで消費者側がいくらぐらいのものを贈ろうか?と考えるとき、一番多いのがまず3,000円、5,000円です。よって、提供側もその価格帯が一番ギフトで売れやすいため、3,000円、5,000円の品揃えが基本になるケースが多いです。次に高額と言える感じになるのが10,000円でしょう。

今回のクリスマスプレゼントの調査でも、やはり3,000円、5,000円、10,000円が購入価格、予算のボリュームゾーンになっていることがよく分かります。ですが、ボリュームゾーンであるということは、それだけ「競争過多な価格帯」であるいうことにもなります。

あなたの会社やお店のギフト商品が今、3,000円、5,000円が中心であった場合がダメだということではありません。中心価格帯はやはり必要です。ですが、7,500円、8,000円、10,000円、30,000円、50,000円など上へ広げることは、売上・利益への貢献は元より、企業やお店の価値、商品価値を打ち出すためにも大事なのです。

逆に2,000円や2,500円へと下へ広げてしまうと、購入数は増えますが、安いものを求めるお客様が増え、どちらかというと価格訴求型に陥りがちです。

どうすれば今回のクリスマス予算調査のように、最適なイベントに合わせて高単価な商材をどのようにバランスよく用意するか、前回の当コラムのテーマ「中小企業こそブランディングで売上増」にも通じることです。今あなたの会社、お店でも価格帯バランスがどうなっているのか、今一度確認してみてください。

売れる価格帯の商品ばかりになっていませんか?

一般的な価格帯や平均購入価格に惑わされていませんか?