専門コラム 第22話 「値上り時代こそ、ギフトの通販は強い」
桜咲く季節となり、近くの公園でも綺麗に咲き誇って、お花見客で毎日賑わっています。
通販業界ではゆうパックが3月から宅配送料値上げとなり、昨年からのヤマト、佐川と合わせて宅配大手3社が全て値上げとなり、通販事業者にとっては大手も中小も関係なく、最も悩ましいコスト増となり、桜を愛でる気分ではない事業者の方も多いのではないでしょうか。
製造業などその他産業においても様々な原料の高騰や、物流コストの高騰があり、商品価格を値上げせざる得ない状況が特に4月以降は顕著になって、数多く見受けられます。
当然、様々なコストが上がった分を単純に値上げすれば解決するという問題ではなく、販売価格が変われば売れ方に影響するため、ステルス値上げと言われている、価格は据え置きにしながら、中身を減らす実質値上げもあります。
各々の値上げが回り回って、給与所得のアップや企業の先行投資に繋がり、好景気を生む・・・という単純な図式にはなかなかならないですし、そうなったとしても、相当に時間が掛かるでしょう。何より値上げで消費が冷え込んでしまえばどうしようもない事態になります。
自分用の通販では、販売価格アップや宅配送料アップの影響はすぐに出やすいのですが、ギフトの通販はすぐには影響しにくいのです。もっとも長い目で見ればもちろん悪影響ではあるのですが、自分用の通販ほどではありません。バブルが弾けた後、通販の業界で真っ先に影響を受けたのは、アパレル通販や雑貨の通販でした。その分、ユニクロやしまむらなどの安い衣料や100円ショップなどがデフレになって伸ばしていった時代でしたが、ギフトの通販が影響を少し受けだしたのは、その5年後くらいからでした。自分の衣服は少々我慢して消費を控えるが、人との繋がりがベースにあるギフトは、多少購入単価を下げるような影響はあっても、すぐには止めないものなのです。
また、購買決定における価格比重というのは自分用に比べ、ギフトの通販では、総予算やシーンありきのため、価格比重は少ないのです。
送料込や送料無料で販売価格を設定することの多いギフトの通販と、送料は別設定のことが多い自分用の通販として比較してみましょう。例えば、宅配送料も合わせて、税込5,000円の価格の自分用の通販、ギフト用の通販で考えてみましょう。商品自体は全く同じもので、宅配送料だけがそれぞれ200円値上がりしたという想定です。
宅配料値上げ前 ●自分用通販 送料別商品代3,980円(送料820円)計4,800円 宅配送料値上がり後(送料1,020円)計5,000円
宅配料値上げ前 ●ギフト用通販 送料込商品代4,800円(送料込み) 計4,800円 宅配送料値上がり後(送料込み) 計5,000円
値上がり前から値上がり後で、自分用もギフト用も支払総額は、それぞれ200円分値上がりしたのことには全く変わりません。
自分用の通販 お客様から見た印象・・・・商品代は変わらず、送料だけ200円値上がりして総額が5,000円になった。
ギフト用の通販 お客様から見た印象・・・・総額が200円値上がりして5,000円になった。
自分用の通販では送料の値上がりにフォーカスされます。 820円→1,020円 送料が24%アップ
ギフト用の通販では送料込の総額にフォーカスされます。 4,800円→5,000円 商品が 4%アップ
自分用の通販では、商品価格の次にお客様が重視される価格は、いろんな機関からも統計が出されている通り宅配送料です。300円以内だとさほど気にしないが、それ以上だと購買決定を左右します。(単価が2,000円〜5,000円くらいの商品の場合です)
ギフトの通販の場合も、送料別設定の場合はもちろん気にされるのですが、送料込としている場合には前述のように大体、送料込みで5,000円くらいのモノを贈ろうとしている場合には、4,800円が5,000円になっても大きな差とは
感じず、購買決定にも大きな影響は及ぼしにくいのです。
様々な商材、様々な価格がある中ですので、もちろん全てをこのように例えることは出来ませんし、乱暴とは思います。その点についてはご容赦いただきたいのですが、何より申し上げたいことは、自分用通販は相当に価格に敏感で、ギフト用の通販はそれほどでもないということです。
現在すでにギフトの販売もされている通販事業者の方には、お客様に対して値上げの理由をしっかりと正直にお伝えした上で、堂々と値上げをしていただきたいのです。短期的に多少は売上に影響するかもしれませんが、無理に自社でコストアップを吸収しようしますと、売上以上に利益に対しては、大きな影響が出ることは間違いありません。
しっかりと社会情勢や自社の困っていることをお伝えすれば、それでも受け入れていただけないお客様もいるとは思いますが大半のお客様は理解を示してくれるはずで、商品やサービスに本当の価値があれば継続して購入という形で応援してくれるはずです。
あなたの会社では値上げの案内をどう伝えていますか?
お客様に対して、真摯に正直になっていますか?