専門コラム 第229話 伸長続くギフト市場11兆5,650億円の中で、あなたの会社が戦うべき「正しい場所」はどこか?

矢野経済研究所が2026年2月に発表した最新データによると、国内ギフト市場は2025年に11兆5,650億円規模まで拡大している見込みです。
このような数字をどう捉えるかで、経営者としての判断は大きく分かれます。市場が拡大していること自体は事実です。しかし同時に、市場が大きくなればなるほど、戦う場所を間違えた企業は成果を出しづらくなる、という現実も見えてきます。
市場規模の拡大は、逆に経営の難易度を上げる?
11兆円を超えるギフト市場は、決して一枚岩ではありません。用途、価格帯、顧客属性、購入チャネル、即時性、体験価値など、複数の軸で細分化された複合市場です。
このような環境下で起こりやすいのが、「商品幅を大きく広げよう」「競合がやっているからウチもやろう」といった、誤った判断の積み重ねです。
結果、自社が本来持っていた強み良さが薄まり、価格競争や広告費や営業費の消耗戦、運用面での疲弊などに巻き込まれていくケースが少なくありません。なので、ギフトのような特定市場の規模拡大は、必ずしも経営を楽にするわけではありません。
eギフト市場4,000億円が示す世の中の構造変化
一方で、eギフト市場は2017年から約3.5倍となり、4,000億円超まで急成長しています。この成長が示しているのは、単なる新市場の誕生ではありません。贈り物の価値が「モノ」から「気持ちを伝える行為」へと移行していることを意味しています。
今すぐ贈れる。相手の住所を知らなくても贈れる。受け取る側が自分で選べる。
こうした特徴は、ギフトの役割そのものが変化していることを示しています。eギフト市場は、巨大なギフト市場の中で、価値観の変化が最も顕在化していると言えるでしょう。
経営判断が問われるのは「どこで勝つか」「何で勝つか」
この局面で求められているのは、市場を広く取りに行く判断ではありません。どの市場で、どのセグメントで、どのチャネルで勝ち切るかを決める判断です。
・誰のためのギフトなのか。
・どんな気持ちを解決する商品なのか。
・なぜ自社や自社の商品、サービスが選ばれているのか。
これらが言語化されていないままの事業拡大は、戦略ではなく期待に近いものになってしまいます。一方で、市場全体では小さく見えるセグメントであっても、明確なポジションを確立している企業は、価格競争に巻き込まれにくく、安定した成果を出し続けています。
セグメント選択は「覚悟」。腹を括れるのかどうか。
戦略的ポジショニングとは、AIやデータを見て正解を探すことではありません。
・この顧客に集中する。
・この用途に絞る。
・この価値で勝負する。…など
同時に限られたリソースの中で、やらないことを決めるということの意思決定も必要です。
・すべてを追わない。
・すべてを取ろうとしない。
このセグメントを行う覚悟がなければ、11兆円市場はむしろ経営の負荷を高める要因になるでしょう。
ギフト11兆円市場は、覚悟を持つ企業だけが恩恵を受ける
ギフト市場は、今後も拡大していくと考えられます。しかし、その成長がすべての事業者に均等にもたらされるわけではありません。
成長の果実を手にするのは、自社の戦う場所を明確に定義し、そこに経営資源を集中させ、一貫した価値提供を続けられる企業です。11兆5,650億円という数字に期待することは簡単です。
しかし、本当に問われるのは「どこで勝つか」「何で勝つか」という極めてシンプルかつ重要な判断です。
あなたの会社のギフト戦略では、この市場のどこに旗を立てていますか?
