専門コラム 第201話 あなたの会社の商品やサービス、何をどこを見て買って欲しいのですか?
「O社長、他に何かお聞きになりたいことはありますか?」
先日のギフト・ショーでのセミナーにご参加くださり、その後の個別相談のお申込みをいただいた、都内の一等地にオフィスを構えている若手起業家・O社長の会社に訪問させていただいた時、一通りお話をした最後に、私がこう伺いました。
「そうですね。ギフト化を早く進めたいのですが、こんなことしてはいけない!みたいなことがありましたら、いくつか教えていただけませんか?」
「たくさんありますが、最もしてはいけないことがあります。結構多くの会社がやってしまっていることですね。それは価格の付け方です。」
私はこう続けました。
「少しでもたくさん売りたい!とのことで、これまでご苦労されて作り続けてきた、自信ある商品を安く見せようとされていませんか?」
現物を見せていただいたO社長の商品は、ある洋菓子に特化していて、自社サイトでの販売を中心に展開されているのですが、すべてがオリジナル商品でそれは味も、見た目もすごく良い商品でした。
「価格というのはギフト化するならなおさら、自家需要向けであってもなのですが、商品やサービスの ”価値” を表すものなのです。せっかくいい商品を作られているのに、モノの価値に目を向けさせず、お手頃な価格に見えるように・・・とかにしてしまっていると、自らの ”価値” を下げることになるのです。」
「まして大切な人に贈ろうとするギフトで、安いから贈ろう!とはなりませんよね。いいモノだから、自分の目利きで価値がありそうだから贈ろう!・・・ですよね。」
O社長は「ご指摘の通り、やっちゃっているかもですね・・・。」
例えば弊社のことで大変申し訳ないのですが、創業以来、無料での自社主催セミナー開催は一度も行っていません。もし内容にご満足いただけなかった場合は理由を問わず100%返金保証もしています。
コロナ禍以降、オンラインセミナーを導入してからも同じです。それはお伝えする内容にご満足いただける ”自信” があるからに他なりません。開催ごとにご参加者様の増減はありますが、ありがたいことにこれまで約30回まで続けることができています。
お金を出してでも話を聞いてみたい・・・、その価値がきっとあるだろう・・・。そう思っていただける方がいらっしゃるからこそです。
こう言ってしまうと「何だ、偉そうに・・・」と、お叱りを受けるかもしれませんが、 もし提供する側が ”自信” のない商品やサービスであった場合、誰がその対価を支払いたいと思うのでしょうか?
街の商店街で売っている、お肉屋さんのコロッケだって同じなのです。
「お肉屋さんが、自店のいい肉を使っているであろうコロッケ。それにいつも揚げたてのホクホクで甘いコロッケ。」
だからこそ、人は1個100円や150円の価値が十分のあると思って、3個・4個と買っていくのではないでしょうか。たとえその製造原価が30円ほどだったとしても。
それに感動するくらいに美味しかったりして行列ができるようなお店のコロッケだったりしたら「ご近所さんにも買っていってあげよう!」とかにもなるでしょう。そう、”ギフト化” にも繋がるのです。一世を風靡した、高級生食パンもそうでしたね。(今もありますが)
スペック的に優れていたり、オリジナル性が高かったり、自信がある商品やサービスほど、同業他社と競合したり、類似するような商品であってもその ”価値” を 堂々と”価格” で表現するべきです。
98円、198円、2980円・・・。その昔ダイエーの創業者、中内氏がアメリカの99¢からヒントを得て(と言われている)日本のスーパーを中心とした小売業全体に、安く見せる値付方法を持ち込み、大成功されました。では、それはいつの時代からなのでしょうか?昭和40-50年代、1970年代からです。
そこから平成30年を経て、今は令和4年、西暦2022年。なんと40-50年もの間、イチキュッパ、ニーキュッパなどが生き続けた結果、今の日本はデフレから脱却できずに苦しんでいる一因になっているのではないでしょうか。
あなたの会社の自信ある商品は、いくらで売られていますか?
価値を伝える、価値を売る価格になっていますか?