専門コラム 第46話 「ギフト化で価値向上、価格競争からの脱却」
「通販で販売開始したオリジナル商品、発売以来ずっと売れ続けてはいるのですが、競合商品が多数出てきた影響でここ数年横ばい状態で、なかなか伸ばせていないんですよ。何か突破口は無いものでしょうか?」
創業から10年、順調に歩みを続けている消費財メーカーの社長からこのような相談がありました。このままでも悪くは無いのですが、その商品は開発に1億円もの投資をしており、専任の担当者も複数いるのだが、なかなかいいアイデアが出なてこないと。
この会社は、様々な商品開発や媒体開発もされており、経営も順調でとても優れた企業なのですが、こと相談を受けた商品については、当社は競合がなくブランド化にも成功していましたが、今では追従する会社が多数出てきています。
他にも詳細をお伺いした上で、私はまずこうお答えしました。「原因と、向かうべきところははっきりしていますね。」と。
他社がどんどん追従できているため、スペックの見直しや基本商品を軸に様々な関連商品の開発もされています。ですが、これは「差別化」を図ってのこと。発売当初は競合もなく市場独占状態でしたが、すぐに他社が追っかけて来ている現状をどうにか打破せねばなりません。
そう、「独自化」と「ブランド力の向上」が出来ていなかったのです。
では、何をもってして「独自化」と「ブランド力の向上」を達成するのか。ここで私は「ギフト」化をお勧めしました。私の目線から見ると、競合他社で本当の意味でのギフトの取り組みをしているところは見られず、形を変えさえすればギフトの通販で十分に成立する特性を、その商品が持っていたからです。
商売センスの高い社長なので、今までも考えたことはあるだろうとは思いつつも申し上げたのですが、やはり以前にはギフトとしての商品開発も行ってはみたとのこと。が、通販以外の市場への供給がメインになってきて、ギフトは道半ばで終わっていたそうで「もう一度、チャレンジしてみます!その時はぜひお力を貸してください!」ということになりました。
自家用向けの通販商品を、ギフト商品化することによって期待できることは、ビジネスの視点からでは大きくは2つあり、価格訴求でなく価値訴求で売ることができるので粗利を得やすいことと、贈りものとして成立できるギフト化がブランド力を向上させ、これまでの自家用向けの商品の価値や、企業価値も引き上げてくれることです。
競合他社と同質のものが、他よりも安く買えます・・・、価格は同じでも製品の質やスペックは他社より優れています・・・等はいわゆる「差別化」です。一方の「独自化」を簡単にいうと、うちでしか買えません、うちでしか作っていません、うちでしかこのサービスはありません・・・という、他社が簡単に真似ができない状態を作り上げることです。
自家用商品であってもギフト商品であっても「独自化」は製品としては同じように達成することはできます。しかし、ギフトでは製品そのものだけではなく、ギフトに相応しい中身であったり、パッケージデザイン、考え抜かれたネーミング、思わず贈りたくなるような包装などのギフトサービスの組合せまでもを含めた、総合的な「独自化」まで持っていくと、より他社が追従しづらい形にまでもっていくことができます。そして、そこまでギフトに対して取り組めている通販は、まだまだ少ないと言えます。
あなたの会社の商品も真のギフト化を考えてみませんか?
ギフト化で価格競争から脱却しませんか?